有夜宇屋志(うやうやし)
『化け物尽くし絵巻』より「有夜宇屋志」
「へぇ、あっしがわるうござんした」
とでも言いそうな、腰の低い妖怪「有夜宇屋志」。
名前でモロバレだが、恐らくは言葉遊びのみで創作された妖怪であると思われる。化け物尽くし絵巻は「夜露死苦」的厨二病臭がプンプンする妖怪が多くて非常に楽しい。
――それはともかく、この有夜宇屋志を真面目に検証してみることにする。
名前の通り「恭しい」妖怪であるのは間違いないだろう。
あと気になるのは白い斑点。白斑という、皮膚のメラニン色素が破壊されてできてしまう斑点の病気があるが、有夜宇屋志は間違いなくソレだろう。遺伝的なものだというから、有夜宇屋志の親もそうだったのかもしれない。
体中がぶよぶよなのも気になる。そう考えればカエル、またはナマズのように見えなくもない。それとも腰を低くするのに慣れ過ぎて、皮がたるみ、このようになってしまったのだろうか?
そして有夜宇屋志唯一の勇ましいポイントが、ニュっと生えた牙であろう。恭しく見せておいていざという時には噛みつく――なるほど、そう考えると人間に通ずるところもある。
腰を低く、常に下手に出ておきながら、虎視眈々と牙を剥く瞬間を狙っている。
――そのような人間のずる賢さ、したたかさを描いた妖怪、との見方もできそう。