入内雀(にゅうないすずめ)
『今昔画図続百鬼』より「入内雀」
入内雀は、平安時代の歌人、藤原実方(ふじわらのさねかた)の怨みが雀になったと言われる妖怪である。
入内雀誕生の逸話はーー
藤原実方は、京都で同時期に台頭していた藤原行成に悪口を言われ、それに怒って揉めた挙句、東北へ左遷させられた。
悔しや実方はそのまま京都を想いながら没した。
その後、京都では奇妙な雀がよく目撃されるようになった。朝食の膳をつついて平らげてしまったり、農作物を食い荒らしたり。
人々はそれを実方の怨念が生んだ雀と恐れ、内裏に侵入する雀、として「入内雀」と呼ぶようになった。
ーーだそうです。
因みに、実在の鳥、ニュウナイスズメも、農作物を荒らすことで有名な鳥である。それが実方の怨念説と結びついて生まれた逸話とも考えられるし、一説では実方の怨念雀が元でニュウナイスズメと名が付いた説もある。
画中解説文
藤原実方奥州に左遷せらる。その一念雀と化して大内に入り、台盤所の飯を啄しとかや。是を入内雀と云。
うぃき訳
藤原実方さん奥州に左遷させられちゃったよ。その一念が雀になって大内に入り、台盤所のご飯を食べちゃうんだって。是を入内雀と言うよ。
追記
月岡芳年は、寂しく京を想う藤原実方を美しい絵として描いている↓
『新形三十六怪撰』より「藤原実方の執心雀となるの図」