船幽霊(ふなゆうれい)
『絵本百物語』より「船幽霊」
海、川、湖に現れる、亡者の怨念だろうと思われる水に纏わる妖怪(怪異)。
しかし↑春泉の描いた船幽霊達は楽しそうである。
船幽霊は、生きている者を仲間に加えようとしてくる。伝承に依れば、船に乗っている生者の前に現れ、「柄杓を貸せ」と言ってくるらしい。うっかり船幽霊に柄杓を貸してしまえば最後、その柄杓で水をたんまりと船に汲まれ、沈没させられてしまう。
NOと言えない日本人にとっては非常に恐ろしい妖怪となる。
勇気を出して、「NO!」と言おう!
『今昔画図続百鬼』より「船幽霊」
西国または北国にても、海上の風はげしく浪たかきときは、波の上に人のかたちのものおほくあらはれ、底なき柄杓にて水を汲事あり
これを船幽霊といふ
これはとわたる舟のかぢをたえて、ゆくえもしらぬ魂魄の残りなるべし