どうもこうも
『百鬼夜行絵巻』(松井文庫所蔵版)より「どうもこうも」
どうもこうもならない妖怪、どうもこうも。
堂本剛も堂本光一も顔負けのオシャレヘアーに素敵まつ毛ではあるが、なんというかミュータントタートルズな顔色が気になるところ。
さて、どこを探してもどうにもこうにも長野県と石川県に伝わる民話に行き当たるので、当妖怪図鑑でも諦めてそれを紹介しておくことにする。
ただ、一応オリジナリティを加えるべく多少大げさに書いてみる。余計なお世話? よく言われるよ!
妖怪どうもこうも誕生秘話↓
あるところに「どうも」と「こうも」という日本でも屈指の名医がいた(名前がまずおかしい件)。
二人はどちらがより外科手術に長けているか勝負することにした。
まずは腕の手術。
お互いにお互いの片腕を斬り、それをまた付け直すというもの。
しかしこれはほぼ互角に終わる。
片手であろうと日本屈指の名医にはなんのハンデにもならないのだ!
二人は次に交互に首を斬り、それを付け直す勝負をした。
どう考えても一回死んじゃうのだが、ライフが1減ったところで日本屈指の名医にはなんの問題にもならないのだ!
しかしやはりこの勝負も互角。傷口はほとんど見えず、ほぼ完全に元通り。
どうしたものかと議論した挙句、二人は同時に首を斬り落とし、付け直す勝負をすることにした。
そして同時に首を斬り落とした二人。
しかし当然二人ともヘブンズドアーをノックしちゃってる最中なので手術しようがない。
そんなアホな二人を見ていた人々は、
「こりゃどうもこうもねぇな」
と言ったのだとか。
――無駄に深読みしてみよう。
当然、この民話の裏には、「お互い意地を張りすぎるのは良くないよね」という教訓があると思う。
往々にして意地の張り合いというのはエスカレートしていき、時には死を招くことだってある。この「どうもこうも」の逸話を大げさな話と捉えるのも勝手だが、結果的に似たようなことになっていることは意外と多い気がする。
更に無駄に深読みしてみる。
この「どうもこうも」が収録されている百鬼夜行絵巻は江戸時代後期の絵巻。
喧嘩した二人が共に死罪になって処罰される――これはもしや江戸時代初期まで慣習化して続いていた「喧嘩両成敗」を批判する風刺的妖怪なのではないだろうか?
無茶苦茶な法によって本来失う必要のなかった人材までもを殺してしまう。
「どうもこうも」の民話でも事実二人の名医が死んでしまっているのである。
そんな恐ろしい法が存在していた事実を忘れないために、妖怪どうもこうもは産まれたのではなかろうか?
……どうもこうもまとめらんなくなってきたので撤退します。