しらみゆうれん
しらみゆうれん
四国の近海で見られたという妖怪が、しらみゆうれんである。
その名前から想像できるように、白っぽくて、幽霊みたいなナニカ、であるようだ。
明治時代以前は、沖に出るとよく遭遇したのだという。
それは海中に現れ、最初は小さな白い渦の様なものだが、それがしだいに大きくなり、船の周りを囲むようにぐるぐると回るのだという。
特になにかするわけでもなく、うすぼんやりと発光しながらただただ旋回し続け、またいつの間にかすぅと消えてしまう。
明治になり見られなくなったということは、環境の変化で棲家を変えてしまったか滅んでしまったかなのだろうが、虫か、はたまたイカか、結局正体がわかっていないのだからソレはしらみゆうれんであり続けることが出来るだろう。
名前の語源に関しては、しらみは「白い」とか「霧のような」というニュアンスで間違いないだろうし、「ゆうれん」に関しては大阪や京都辺りでは幽霊のことを「ゆうれん」と訛って言ったりもするようなので、やっぱり幽霊なのだと思う。
さらに香川県にも幽霊をゆうれんと呼ぶ地域があるようで、決定的である。
白幽霊じゃなく、しらみゆうれんな辺りに、味がある。