水に溶け出る怨み~金魚の幽霊~
金魚の幽霊
「藻之花の怨魂、金魚に着す」
「怨み」というモノが科学的にどういう成分で構成されているのか僕はちょっと知らないが、どうやら水溶性らしい。
というのも、この金魚の幽霊(きんぎょのゆうれい)という妖怪は、水に溶け出た怨み成分にあてられて妖怪化したと思われるからである。
――昔、信濃(長野)にいた藻之花(ものはな)という女性が、金魚の沢山泳ぐ水槽に沈められ、蓑文太(水木しげる解説では、みのもんた。しかし実際にはさぶんだ、と読むらしい)という男に腹を蹴られ、殺された。
その時に藻之花から流れ出た血を吸った金魚達が、みるみる内に鮮血のような色に変わり、人の顔を持つ妖怪へと変じ、みのもんたに天罰を与えたそうな。
因みに、この話の原文訳はかなり凄惨な内容となっており、春画特集とかしといてなんだが、サラっと書くわけにはいかない内容になっている。
実は藻之花は妊娠しており、みのもんたに蹴り殺される時に腹が破れ、中の子供が飛び出し……よしやめよう。とにかくそういう内容なのである。
怨みは水に溶ける。
逆に考えれば、ものすごぉく怨めしい相手がいたり、出来事が起こってしまった時、水に溶かしてスッキリ、なんてこともできるのかもしれない。
というわけで風呂入って寝る。