妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

漠然と獏(ばく)

獏(ばく)

漠然と当妖怪図鑑の妖怪一覧を眺めていたら、なんとみんな大好き獏さんを載せていないことに気付いたので慌てて漠然と獏を紹介する。

獏は中国に伝わっている伝説上の動物で、体型はクマ、鼻はゾウ、目はサイ、尻尾はウシ、脚はトラのようだと言われる。
元来中国では悪夢を払う聖獣として伝わっていた。それが日本に来てどこかのタイミングで「悪夢を食べてくれる」となってしまったらしい。
しかし日本に来てから獏は随分愛され、縁起物として様々な形で庶民に親しまれた。宝船の帆に描かれたり、枕元に飾られたり。かの太閤豊臣秀吉も枕元に獏の絵を飾っていたとか。

また、実在のあのかわゆい動物「バク」は、妖怪の獏と関係ある、とする説と全く無関係、とする両説がある。これは太古の中国にはバクの祖先とされる動物が棲息していたと考えられており、故に無関係と言い切れないからである。ややこしい。

国内に伝わる獏の伝承では、熊本では悪夢を見たらば「ばくにあげます」と言いながら三度息を吐く。福岡では、「ばくにあげます、ばくにあげます」と二回唱える、という悪夢対処法が伝わっている。

ただ、昨今様々な媒体で描かれる獏は、随分色んな役割を与えられていて大変そうである。
真逆の仕事(良い夢を食べて悪い夢にしちゃう、みたいな)もあるようだし、そろそろ中国に帰りたいなぁ、なんて思っているかも知れない。
妖怪をも酷使しているこの国はやっぱりなんかすごい。
酷使されている獏が、毎晩悪夢を見ていて、「ばくにあげます、ばくにあげます」とか唱えているーーそんな落語みたいな事にならなければいいのだが。