妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

黒眚(しい)

黒眚(しい)

黒眚、または黒青、とも書く。
中国において「亡国の兆し」や「凶事の前触れ」として現れるとされていた妖怪だが、日本でも山口県、福岡県などにその伝承が残っている。
ただし、日本での黒眚は、正体がわからない為に強引に中国の黒眚の名を付けた、とも言われているので違う妖怪であった可能性も大いにある。

黒眚の容姿は、『斎諧俗談』によるとーー

狼の様な姿で、高さは2m以上、色は赤、黒、白、まだら、と数種類いて、尻尾はゴボウの根っこのように太く、頭は尖っており、口も尖って上下に牙が2本ずつあり、その牙は鼠の牙のようで、歯は牛のようである。
眼は堅にして、脚も太く水掻きがある。
走れば空を飛ぶかのようで、うっかり触れようものなら顔や手足を傷付けられてしまう。
もしこれに遭遇したなら、そのまま倒れて伏せていれば食われずに去って行く。
弓や鉄砲などでは仕留めることができなかったので、落とし穴を用いて数十匹を捕獲した。
その後、もうこの獣が現れることは無くなった。
これを俗に黒眚といい、また志於宇ともいう。
中国の書に、「大明の成化12年、北京に獣あり。その形狸の如く、また犬の如くにして、飛ぶこと風のごとし。人の面を傷付け、または手足を噛む。一夜に数十匹現る。その現るる時は、黒気を負うてくる。俗に黒眚と名付くという」とある。

ーーとある。

黒い気を負って現れる、という部分と、名前の「黒眚」。
厨二心をゆっさゆっさされる妖怪だが、↑の書にある通りに容姿を想像してみると多分すごくかっこ悪くてキモい。
実に惜黒眚妖怪である。