木の葉天狗(このはてんぐ)
河鍋暁斎「東海道名所之内 秋葉山」
様々な文献にその名が見られ、かつその他の天狗とは少し変わった容貌をしているらしい木の葉天狗。烏天狗のように、大きなクチバシが付いているのが特徴。
↑に載せた河鍋暁斎の絵では、沢山の木の葉天狗達が木の上で遊んでいる様が描かれており、比較的無害な天狗のように見える……がしかし。
山口県に伝わる怪談に木の葉天狗にからかわれた、という内容のものがあり、そこでは超人(超天狗)的能力を披露しているので紹介しておく。
ある日狩猟に出かけたとある男が、山の中で小僧に出遭った。
小僧は「おいおっさん。おめぇさんの持ってるその銃、本物ならおいらを撃ってみやがれ」と挑発。
しかし男はすぐにその小僧が木の葉天狗であることを見抜いた。
そこで、こうなりゃ逆に脅かしてやろう、と思った男は、実弾を二発こめて小僧のすぐ傍に向けてぶっ放した。
――が、気付くと小僧が目の前にいない。焦る男の背後から、小僧がスッと現れ、「どうしたんだよおっさん。もしかしてあんたが撃った弾、これかい?」と不敵に笑いながら男に二発の弾を渡した。
唖然としている男をよそに、小僧はそのまま木々の中へ消えて行ったのだという。
名前とは裏腹のなんというラスボス感。しかし、木の葉天狗は「こっぱ天狗」とも言われ、辞書を引いても「大したことない天狗」とか書かれていたりする。
頑張れ木の葉天狗! 負けるな木の葉天狗!