安い楽しさを売る妖怪・時楽鬼 (じらくき)
ビビビの鼠様提供「時楽鬼」
人々の小さな「楽しさ」を売る代わりに「命(時間)」を奪っていく妖怪である時楽鬼。まさに現代だからこそ沸いてしまったと言える、地味だが万人に影響を及ぼしている恐ろしい妖怪である。
ふと気づけば数時間、少ししか面白くないゲームをやってしまっていた。
気付けば数時間、興味も無い事をネット上で探し、時間が経ってしまっていた。
もう寝ようと思っていたのに、携帯をいじり始めたら夜が明けていた。
――そんな僅かな楽しさを与える代わりに、時間を奪っていく時楽鬼。「そのぐらいくれてやるよ」と侮ってはいけない。その奪われた時間は積み重なることであなたの人生そのものに暗い影を落としかねないのだ。
そして決して商売根性などでなく、純粋に人々が困り、弱るのを見るのが何よりも楽しい時楽鬼は、絵のように指を指して笑っているのである。
様々な暇つぶしになるゲーム等が溢れている現代。時楽鬼は「時は金なり」という言葉の本当の意味と重要性を知っている。それを忘れ、タメにならない事にばかり時間を使う人々への警鐘を鳴らすという意味も、この時楽鬼は担っているのかも知れない。
あなたがムダにしてきた多くの時間は、時楽鬼の背中に貯め込まれている。
それは決して返っては来ない、純粋に無駄な命(時間)なのである。
それに気付き、返してくれと懇願してくる人々を時楽鬼は蹴とばし、大口を開けて笑う。
そして優しい声でこう言うのである。
「失った時間は返ってはこない。返ってこないものをあれこれ考えるのこそ無駄だ。そんなことは忘れればいい。ほら、楽しさをあげるよ。これでそんなことを忘れちゃえばいい。ただし、ほんの少しだけあんたの時間を貰うよ」
と。
真に楽しんでいるのは人間ではなくこの時楽鬼自身なのである。