飛縁魔(ひのえんま)
飛縁魔
『絵本百物語』より「飛縁魔」
飛縁魔は、男を惑わし滅ぼす女犯を妖怪として描いたもの。
丙午(ひのえうま)産まれの女性は男を食いつぶすという迷信から創作された。
いつの時代でも女性は男を骨抜き――ですね、わかります。
以下画中文と本文解説を載せるが、特に本文の方はかなり女性を差別視してるのでご了承頂きたい。
画中解説文
顔かたちうつくしけれども
いとおそろしきものにて、夜なゝゝ出て男の精血を吸、つゐにはとり殺すとなむ。
うぃき訳
顔かたちは美しいけど、すっげぇやばいよ。夜な夜な現れては男の血を吸い、最後にはとり殺すんだよ。
本文訳
飛縁魔は仏教の言葉であり、女犯を戒めた言葉である。
男が女に迷い身を滅ぼし家を失うことの愚かさを諭したものである。
飛縁魔縁障女ともいう。また、「外面似菩薩内心如夜叉」とも説いて、顔と心とが全く違い恐ろしいのが女だから、女に心奪われ迷ってはいけない、と教えたものである。
女はみな、ひねくれている。
けれども、盲目に女に惚れている時というのは女の事を美しいとも趣があるとも感じるものである。
であるから、女に心惑わされ国を滅ぼした者は少なくない。
唐土(もろこし)、夏の桀王を迷わせた妹嬉(ばっき)、殷の紂王の妲己、周の幽王を溺れさせた褒似など、みな飛縁魔である。
だから飛縁魔に魅入られた者は財産や身分は言うまでも無く、精力や生血までも吸い取られ、最後には命までも落とすことになるのだ。
それゆえ、女が紅や白粉をつけることを化粧という。
化粧とは、化け粧うことである。一休和尚は女が化粧するのを見て、「狐が藻を頭に乗せ、その上からしゃれこうべを被って美女に化けるのと変わらない」と仰せになったのである。
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