古籠火(ころうか)
『百器徒然袋』より「古籠火」
それ火に陰火、陽火、鬼火さまざまありとぞ
わけて古戦場には汗血のこりて鬼火となり、あやしきかたちをあらはすよしを聞はべれども、いまだ燈籠の火の怪をなすことをきかずと、夢の中におもひぬ
古籠火は、燈籠が付喪神となり、火を灯したり鬼のような姿になって出てくるとされる妖怪である。
石燕は解説文にて、
「鬼火だの狐火だの、古戦場火だの、火の妖怪は一杯いるのになんで燈籠の怪火は無いんだろね――なんて夢の中で思ったよ」
と書いており、ならば作ってしまえという勢いで石燕が創作したものだと思われる。
また、ある説では、長らく使われていない古い燈籠が、勝手に火を灯すものだ――とも伝わる。
自己主張の強い燈籠である。
石燕の描いた古籠火の鬼も、燈籠の中ではなく鬼が口から火を吐いている。
一体何がしたいのか解らない妖怪ではあるが、これで石燕の思惑通り、燈籠の妖怪が誕生したのだからめでたしめでたしである。