秋のお彼岸といえば妖怪「首かじり」
一筆斎文調画「男の生首口にしたる幽霊」
秋のお彼岸も過ぎ、多くの方が墓参りをし、また多くの方が「首かじり」に首を齧られたことかと思う。
この首かじりは、首の無い状態で土葬された者の怨念が幽霊となって現れ、秋彼岸に墓を掘り起こして首のある死体の首を齧るという、非常に恐ろしいが生きている者にとっては無害な妖怪である。
尚、↑画像は妖怪「首かじり」の元になったと言われている妖怪画で、首かじりという妖怪そのものを描いた絵ではない。
――さて。
実はこの秋のお彼岸、またもや職場が墓だらけの場所にある僕は不思議な体験をすることになった(前は男の子の幽霊見たってやつ)。地味なので書かずにいたが、悪いエピソードではないのでこの機会に書いておく。
確か中日の次の日の夜だったと思うが、僕は外に最後のゴミ捨てに向かう際、黒いナニカの襲撃を受けた。
当然可愛く悲鳴を上げた僕だが、よく見るとなんのことは無いバッタ(多分)君であった。すぐに殺意を抱いたわけだが、正直早く帰りたかったので見逃してやった。
翌日の夜。またも僕がゴミ捨てに行った際、バッタ君が同じ所にいた。しかもあろうことかバッタ君、ドアを開けた隙にピョンと厨房内へ入りやがった。
流石に厨房でバッタ君を無視し続けるわけにもいかないわけで、僕はなんとか殺そうと考えた。
――しかし、僕はそれもまた面倒になって、無視することにした。
「いてもいいけど、邪魔はすんなよ」とマジで言い聞かせて。
そしてしばらく後、「バッタ野郎の姿が見えないな」と探してみると、なんとバッタ君、可愛く入って来たドアの正面でちょこんと佇んでいる。
もう帰りたくなったのか?
なんて思いながらドアを開けてやると、すぐに飛び出すバッタ君。
「もう来ンなよ」
と言い、僕はドアを閉めた。
で、その時の僕はお彼岸とバッタ君とを全く関連付けて考えておらず、「人間臭い可愛いバッタがいた話」で終わらせていた。
しかし今日になって、ある主婦とその話をしていると
「遊びに来たんだねぇ。バッタの姿を借りて」
と言われ、初めてお彼岸であることに気付いたのだった。
――と書いてみたところで、正直胡散臭い気はする。
バッタに化けて出てくるような人物に心当たりは無いし、あるとしたら……あの死んだ猫さんぐらいか。知らない誰かの霊、とでも言われてしまったらもう何も言えないが。
しかし僕は今回のバッタ君との出会いで、ある一つの凄い事実に気付くことができた。
それは――バッタのジャンプ力ハンパネェ、ということである。
なんだか随分話が逸れて、最早何の記事を書いてたか忘れかけていたが、最後にもう一度、妖怪「首かじり」よろしくね!