赤子(あかご)
『蕪村妖怪絵巻』より「赤子の怪」
赤子は赤子であるが、ここで書くのは妖怪として知られている「赤子」について。
蕪村妖怪絵巻に描かれている「赤子の怪」では、宿に泊まった法師が夜中に騒がしい音を隣室で聞き、覗いてみると真っ赤な赤子がたくさんいて踊っていたのだという。
法師は肝を冷やしたが、翌朝起きてみると赤子達の姿は消えていたそうな。
それってただの夢なんじゃゴホゴホ。
ーー面白いのが、赤子が一人でなくたくさんいたということと、踊っていたことだろう。
「ばけもの絵巻」という明治時代に描かれた絵巻にもほぼ同じような怪異が描かれているのだが、そちらでもやっぱり「たくさんの」赤子が、夜に「踊って」いるという内容である。
赤子は常にたくさんで、踊っていなくてはならないらしい。
さてこれは一体どういう意味を持つ怪異なのだろう。
やはり赤子であるわけだから、例えばそれを目撃した法師が生涯独身であることへの皮肉として、赤子の妖怪がヒャッハー! と出てきたーーとか。
赤子、という響きからはそんなに恐怖は感じないが、実際に踊り狂うたくさんの赤子を目撃したら洒落にならないほど怖いのではないだろうか。