岸涯小僧(がんぎこぞう)
『今昔百鬼拾遺』より「岸涯小僧」
岸涯小僧は川辺に居て魚をとりくらふ
その歯の利き事やすりの如し
岸涯小僧は川辺に棲むと言われる猿のような妖怪。
河童の一種との説もあるが、石燕の創作である説が一番濃厚である。
石燕の解説文には、「岸涯小僧は川辺に居て魚をとりくらふ。その歯の利き事やすりの如し」とあり、魚が好きで、歯がものすごく尖っていることが解る。
僕なりに考えてみると、これは船着場における「雁木(がんぎ)」との言葉遊びで作られた妖怪なのではないだろうか?
潮の満ち引きに関係なく荷物を陸にあげたりする用途で作られた雁木は、言いようによっては「どんな状況でも魚を獲れる」とも言える。岸涯小僧もまたその鋭い歯で、どのような時でも魚を捕らえられるのだろうから、同じようなものではないだろうか?
石燕の絵を見ても、まるで船着場の雁木のように、船に跨る岸涯小僧が描かれているではないか!
……流石に無理がある解釈な気がしてきたのでこれにて。