天狗礫(てんぐつぶて)
『今昔百鬼拾遺』より「天狗礫」
凡深山幽谷の中にて一陣の魔風おこり、山鳴谷こたへて、大石をとばす事あり
是を天狗礫と云
左伝に見えたる宋におつる七つの石もうたがふらくは是ならんかし
天狗礫は、山中にて突然どこからともなく石や砂利などが飛んでくる怪異。
石燕の画中解説文には、「深山幽谷の中にて一陣の魔風おこり、山鳴、谷こたへて、大石をとばすことあり」と書かれており、時には岩も飛んでくることが解る。
天狗礫と呼ばれているのは、あくまでもこの怪異が山中で起こり、天狗が人間を懲らしめようとしているのでは? と想像されるためであり、天狗がエイヤと礫攻している姿を見たものはいない。
一説には狐狸のイタズラとも言われている。
しかし各地には沢山この天狗礫の伝承は残っており、石のような物が当たったがそれが落ちた形跡は無く、目には見えないのに水面に当たると波紋が出来たりするのだという。
目には見えないが波紋を起こす物……?
もしや天狗達は超先進的文明を持っており、ミクロな物質を超高速で発射する兵器なんかを使ってイタズラしているのではないだろうか?
その技術は天狗達の移動にも利用されており、天狗が空を飛ぶという噂もカタパルト的な何かで天狗達が移動しているからに他ならず……
などと、自由に妄想できるのは妖怪のいいところである。
とにかく、天狗のいそうな山に出かける際は、礫に備えて厚着していくことを忘れずに。