妖怪と中国ってどう関係してるの?
妖怪が日本独自のモンスターの類だと思っているのなら大きな間違い。
意外と聞かれるのが、中国と妖怪の関係です。
相変わらずあまり仲がよくないと思わせるような話は溢れていますが、妖怪を知る上では中国と仲良くしなくてはなりません。むしろ妖怪が日中の絆を深める――なんてことになったら素敵で妖しいことだと思います。
まず、「妖怪」という言葉自体がジャパンオリジナルではありません。古い時代の中国に、理解できない怪しい現象を指す言葉として「妖怪」は使われていました。
日本で妖怪という言葉が頻繁に使われるようになるのは、妖怪って本当にいるの? でも書きましたが平安時代ぐらいから。
そして、「妖怪」という大きなくくりの言葉だけでなく、個々の妖怪もまたほとんどは中国に起源があるのです。コレマジ。
妖怪学で有名な井上円了氏も、「日本オリジナルの妖怪というのはめっちゃ少なくて、中国由来が七割、インド由来が二割、日本独自が一割ぐらいなもの」と書いてます。
上の記述で勘の良い方なら気付くと思うのですが、どうやって日本に妖怪の原型となる伝承は伝わってきたのでしょうか?
中国、インド……そう、宗教ですね!
両国とも人口が多い国だから数打ちゃ当たるで日本に来たんだ! ――と思ったあなた、惜しい!
これら二つの国で共通している大きな宗教と言えばやっぱり仏教です。仏教は元はインドにて釈迦が開いた宗教で、すったもんだのもみもみぐちゃぐちゃした挙句中国やその他多くの国に広まっていった宗教です。
知っての通り日本でも流行り、それまで主流だった神道を押しのけてみるみる日本全国に広まっていきました。その中で起きた現象の一例をテキトーに書けば、
「え? この現象って中国にいるアノ妖怪のせいなのか!」
みたいなことです。それは当然、多分に日本独自の見解を組み込んだモノとして育まれていき、ややこしく、深い妖怪の歴史を作っていきます。
もちろん、宗教以外でもお隣さんである中国からは色々な情報が伝わり、それも日本での妖怪形成に関係しているのですが、やっぱり仏教伝来の衝撃には勝らないと思います。
さて。日本にやってきた中国出身の妖怪さん達。
面白いのはここからで、日本人の昔っからの性格と言いますか、中国とは全く異なる「妖怪の育て方」をしちゃうんですね。
まず、中国ではそれほどメインコンテンツにならない、観念的なモノであるのに対し、日本はどんどんと妖怪を身近で親しみやすいモノに変えていきます。
一番解り易い例が、絵の多さでしょう。
中国には妖怪を描いたと思われる絵画はかなり少ないらしいです。
反面、日本はどうでしょう?
ものすごいバリエーションの妖怪を描き、既存のモノでは物足りず、創作もしまくりです。案外、今日アニメなどで有名になった日本人は昔からそういう気質を持っていたんじゃないでしょうか。
また、そのように描かれた絵も、仏教の神様をモデルにしていたり、漢字の語感で勝手にイメージして描いたりとやりたい放題。いいぞ日本もっとやれ!
お蔭で、日本における妖怪は、なんだかユーモラスで、親しみのある存在へと育っていったんですね。
長くなったのでまとめます。
とにかく起源が中国にあり、仏教などと一緒に日本にやってこなければ妖怪さんは誕生しなかったので、そういう意味では絶対に感謝と尊敬の念は忘れてはいけないと思います。
ただ、日本ですくすく育った妖怪達は、起源こそ違えど最早日本オリジナルと言っても過言ではないモノになっていると思います。
あ、一つだけ言い方が悪かったので直します。
日本ですくすく育った、のではなく、今こうしてあなたが新たに妖怪の事を知り、思いを巡らせることで「育っている途中」なんだと思います。
うまくまとまった。