妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

アイディアが出ないあなたに宝蔵院から送る『月百姿』より「都幾乃発明」

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『月百姿』より「都幾乃発明」

 

槍の伝説的名手であり、宝蔵院流の創始者である宝蔵院胤栄(ほうぞういんいんえい)。

宝蔵院流が普通の槍術とどう違うのかというと、それまでの素槍の常識を覆す「十文字槍」であるということ。これにより普通の槍でできなかった様々な動きが出来るようになり、攻守を同時に行う画期的槍術として普及した。

一般的に知られているところで言えば、井上雄彦の宮本武蔵主役の漫画「バガボンド」に出てくる宝蔵院胤舜(ほうぞういんいんしゅん)がかっこよくて僕もちょっと槍術に憧れた時期があった(今は懐かしき僕の厨二病時代)。

 

そんな宝蔵院流の創始者が、十文字槍を思いついたまさにその瞬間を描いた月岡芳年の絵が↑である。

画題も「つきのはつめい」であり、「月」と、さらに槍の「突き」も掛かっているという相変わらずの面白いタイトル。

絵も、水面に写る月と槍の影を見て宝蔵院胤栄が「!!」しているところであるが、反射していない槍にも見事に月がかかっていてあたかも月と槍とをくっつけた十文字槍が既にそこにあるかのようになっていて美しい。

 

月は頭上にだけある、という思い込みを捨て、様々な視点で見ることで時に大きな前進のきっかけを与えてくれる――そんな色々な意味のこもっていそうな名画である。

しかし芳年が晩年に魂を込めて描いたというだけあって『月百姿』の作品はどれもいちいち素晴らしくって弱る。

 

尚、宝蔵院流はほとんどの技が失われてしまったのだが、現代でも唯一「宝蔵院流高田派」という派が残っており、その演武の様子などはyoutubeでも見れたりするので、興味がある方は見てみるといいかも知れない。


宝蔵院流槍術 第二十世宗家 鍵田忠兵衛演武 - YouTube

 

 

十文字槍かっこいい。