妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

みなさんのおかげです、な気分なので『月百姿』より「霜満軍営秋気清 数行過雁月三更 謙信」

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 『月百姿』より「霜満軍営秋気清 数行過雁月三更 謙信」

 

当初目標としていたこの妖怪図鑑の記事数500を実はちょっと前にクリアした。

本当は「500種類の妖怪」でクリアしたかったので特にどこかで言ったりはしなかったが、地味に一人感慨深くその感動を噛みしめたりしたのである。

 

そして何より、この妖怪図鑑は僕一人の力のみで成り立っているわけではないことをよく思う。

妖怪図鑑であるから当然妖怪を扱っており、諸国に旅した経験などほとんどない僕にとってはほとんどはネットや本のみで調べたことであり、そうなると当然細かな間違いや誤解されるような事を書いてしまい、様々な人のコメントで助言を貰えることがままある。

そういった「これ違いますよ」みたいな助言は、イラつくとかじゃなく、本当に素直にありがたいと思う。

知識の無い僕ががむしゃらに作っているこのブログを、顔も知らぬ誰かがわざわざ助力してくれるようなもので、本当に助かる。

また現代妖怪なんていうカテゴリでも多くの絵師さん達に絵を描いていただき、それなんかは直に世話になってしまっている。

そのようにしてたまにズレを直しながらも、今は妖怪無関係の月岡芳年『月百姿』なんかをやり続けていてそれこそ大いにズレたりしているが、未だどんどん妖怪を溢れさせたいとう想いがある。

 

――そんなわけで今宵の『月百姿』の一枚は、上杉謙信が陣中で詠んだとされる漢詩「霜満軍営秋気清 数行過雁月三更」である。

これは序文で、全文は

「霜満軍営秋気清 数行過雁月三更 越山併得能州景 遮莫家郷憶遠征」

おおまかに訳せば、

「霧満ちる陣営には秋の清々しい風が吹いている。空には列を成して雁が飛び、深夜の月も覗いている。越後、越中に加え能登の山々も見ることが出来た。故郷の家族が遠征してる自分を心配しているかも知れないが、今はそんなこと気にしてらんね」

という感じである。

この漢詩は七尾城を攻め落とした夜に謙信が詠んだもの。

陣営にあって勝利の余韻のみを詠えばいいものを、最後に「気にしてらんない」と言っているが家族の事が入っているのがかわいい。

 

誰もがどこかで助けられており、誰もが本当に一人で生きて行くことは難しい。

そんなことを考えさせられる謙信の漢詩。

今後の妖怪図鑑への意気込みと、感謝と、今現在の外の様子とを合わせて、僕も心を込めて謙信の漢詩をパクってみることにする。

 

雨満幌家気寒 数行過雲月不見 雨風併得地獄景 遮莫元女憶風邪

 

因みに、僕は過去に新潟旅行をした際、謙信の居城であった春日山城跡で「意外としょぼくね?」と呟き、その直後大量の虫に襲われる、という恐ろしい上杉家の呪いを体験したことがある。

謙信公、あの時はすみませんでした。