妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『化物尽絵巻』とは? ついでに元ネタ妖怪探し

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『化物尽絵巻』より「さら蛇」
 

類似する名前の絵巻が多いので、百鬼夜行絵巻系は非常にややこしいのだが、特にこの『化物尽絵巻』は過去に描かれている妖怪を名前を変えて描いていたりして尚更ややこしい。

 
この絵巻の作者は「北斎季親」という人物。
色々と調べたのだが、頼みのwikiにすら載っていない人物であり詳細がわからなかった。この絵巻を載せている本にも、作者には触れてくれておらず、これまたわからず仕舞い。ただ、まんまな推測ではあるが名前に「北斎」がついていることから、北斎の弟子、または北斎大好きな人物であったのではないか、と考えられる。なんかすんません。
 
『化物尽絵巻』が世に出たのは江戸時代末期であり、ゆえにそれまで作成された様々な絵巻を模倣できたわけだが、それよりも色づかいや絵のタッチが変わっていて面白い。た
例えばトップで紹介した↑さら蛇は、おそらくは濡れ女を描いたもの(おそらく、でもなく絶対、だが)。
不気味さは確かにあるが、まるで土産物屋で売ってるオモチャのヘビに強引に日本人形の頭をぶっさしたようにも見えてなんだかチープ。こういうののオンパレードなのである。wktkが止まらない!
 
前述したように模倣された妖怪が多いため、『化物尽絵巻』オリジナルだと思われる妖怪以外はこの項にてまとめて紹介するので、独特なタッチと模倣具合を楽しんでみて欲しい。
 

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 牛鬼

 こちらはそのまんまの牛鬼。角がやけに猛々しい。
元の牛鬼についての詳細は図鑑内の「牛鬼」でどうぞ。
 
 

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 後眼

こちらもまんまな後眼。元のうしろめは「後眼(うしろめ))」から。
 
 

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大地打

大地打ちと言う名前ではあるが金槌坊のことと思って間違い無いと思う。

因みに百鬼夜行絵巻(松井文庫版)の金槌坊が↓。

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夢の精霊

『百怪図巻』に同名の妖怪が描かれており、姿もほぼ同じ。

ただ、↑の夢の精霊の方がなんだか人間っぽくて嫌。参考までに、もっと精霊っぽい『百怪図巻』の夢の精霊が↓

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どうもこうも

どうもこうもなく『百鬼夜行絵巻』のどうもこうもである。

 

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馬鹿

馬鹿丸出しなバカ野郎むましか様。こちらも百鬼夜行絵巻の馬鹿の模写。

誰が描いてもこのむましかはブレが無くバカっぽくて安心である。

 

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のぶすま

これは若干問題がある。

野衾(のぶすま)と言えばムササビだコウモリだと言われる空を飛び人の目を塞ぎにくる妖怪であり、この図鑑でも紹介した。

それはいい。

一体何が問題なのかと言うと、こちらの妖怪を見て貰えばすぐに解ると思う。

まさにこの記事の前に書いた妖怪、山あらしである↓

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あろうことか山あらしの貴重なアイデンティティであるトゲを全部抜き去り、顔もおっさんにした挙句、全くことなる「のぶすま」と名前を付けてしまった北斎季親さん。

因みに当然ではあるが、山あらしの載っている『百鬼夜行絵巻』は、『化物尽絵巻』よりも前に作られた絵巻であることは一応書いておく。

元絵がディズニーだったらディズニーシーの海底二万マイル下に沈められるレベルである。

 

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山童

一つ目の山童。この絵も『百怪図巻』山童の模写だと思われるが、なんというか正直言って雑である。

 

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ろくろくび・犬神

恐らく作者の北斎季親さんは『百怪図巻』のファンだったのだろう。

このろくろくびと犬神は重なって描かれているが、『百怪図巻』でも全く同じ構図なのだ。

 

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山姥

こちらも山姥模写か。

 

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赤舌

『百怪図巻』の「あか口」の模写。随分丸くなっちゃった。

 

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猫また・きつね

猫また野狐参照。これも『百怪図巻』の模写か。

 

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雪女

こちらもやっぱり『百怪図巻』のゆき女を真似ているとは思うのだが、なんというか随分老けてしまった気がする。何があったのだろう。

 

 

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うはん

うわんのジオン軍デフォルトカラー仕様。オリジナルはシャア専用。

 

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ぶらり火

貧弱。『百怪図巻』の禍々しい感じから、よわよわしい鳥へと成り下がってしまった。禍々しい方を見たい方は「ふらり火」へ。

 

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亡魂

亡魂と聞いて、もしやの亡魂か? と思ったちょい妖怪通な僕だが『百怪図巻』を見てみたら幽霊のことだったようだ。この『化物尽絵巻』に深読みはいらないのだ!

 

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おどろし

これまた実にややこしい。

おどろし、と聞けば当然「おとろし」を思い浮かべるのだが、どうやらわうわうを描いたものらしい。

まぁおとろしがおどろおどろしい、恐ろしい、という意味でもあるから間違いなわけではないのだが……。

参考までに『百怪図巻』のわうわう↓

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髪切

これでファイナル、髪切りである。

絵巻の最後であるため、北斎季親、という名前も見える。

 

――さて、他に見れないこの絵巻オリジナル以外の妖怪は全て載せた。

見てきて解ったと思うが、ほとんどが『百怪図巻』と『百鬼夜行絵巻』(松井文庫所蔵版)の模写であることもお解りいただけたと思う。

 

しかしながら、奇抜な色使いと斬新な崩し方は素晴らしい。

それでは

随分長くなったが、最後に冒頭で紹介したさら蛇の元ネタ、濡れ女の画像を貼って終わる。その色使いに酔いしれろ!

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『百怪図巻』↑。『化物尽絵巻』↓。

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どぉぉぉしてこうなったぁぁぁぁぁ!!

 

 

※ここに未掲載の『化物尽絵巻』妖怪はカテゴリー『化物尽絵巻』よりお探しください。