鬼の生活、今夜のおかず
『北斎漫画』十編より
こちらの絵は無題で鬼二匹が描かれている。
片方は「こんな本見つけたぜ!」とでも言っているのか、それとも「勉強教えておかぁちゃーん」だろうか?
一方の背の高い鬼は今夜のおかずをこしらえにでも行っていたかのよう。
そしてザルには新鮮な魚と新鮮な人の頭が乗っている。これだけあれば今夜は豪華な食事になりそーーえぇ!? 人の頭!!!
お前ら悪魔か! 鬼か!
……あ、鬼なんだった。
どうやら鬼にとっては人間の頭部というのもご馳走なのだろう。
生活感あふれる実にほのぼのする絵である。しかし一体どこで人間の頭部を仕入れて来たのだろうか? まさか闇市場的なのがあり、そこでは人間の部位が高値で取引されていたりするのだろうか?
もしやよく聞く黒い噂の、「借金が膨らみ過ぎたからマニラに飛ばされた」みたいな話、臓器売買等ではなく、もしや鬼の食料にされているのではないだろうか?
全く、絵一枚でここまで想像を膨らませられるんだから北斎は凄い。まるで実際に見たシーンのように描かれているのだから尚驚きである。