【おまわりさん】思わず通報したくなる変態妖怪大特集【この人です】
変態妖怪大特集
本格的に暑い季節が近づいてきました。
どうしても夏になると巷にはヤバイ人が増えてきます。
夏限定の、変な性癖を持つ人専用のアルバイトでもあるんじゃないか? と思うほどにです。
そこで今回は、妖怪と言えども通報せずにはいられない、変でマトモじゃない妖怪さんを紹介したいと思います。妖怪自体マトモじゃないんですが、そこは置いといて。
「何をもって変態とするか」というのは非常に難しい問題ですが、こう定義しておきましょう。
「その妖怪と出会ってしまった際に、恐怖と驚きで逃げるよりも先に通報しなきゃ! と思うか否か」
簡単に言えば、
「で……出たぁぁぁぁ!」
よりも
「お、おまわりさぁぁぁん!」
となるかどうか、です。解りにくい? 同感です。
兎にも馬鹿にも、ここで紹介する妖怪を覚えておけば、少しは夏を安心して過ごせるはずです。
――尚、トップに載せた馬面馬鹿面の妖怪はその名も「馬鹿(むましか)」です。
気候も暖かくなると浮かれる気持ちも解りますが、やり過ぎると不審に思われかねないので注意したいところです。
様々なデジタル機器で溢れかえるこのご時世において、こうもシンプルかつ堂々と「覗き」をするこの屏風覗にはむしろ尊敬の念すら抱いてしまいます。
「覗く」為だけに存在するという、実に潔い妖怪。
盗撮でも盗聴でも無く、ただ己が目で見る。変態妖怪の鑑だよアンタ!
出すとこ出さない中途半端な露出狂なべくわ太郎。
全裸の妖怪は多く存在していますが、このべくわ太郎の表情からは明らかに人を馬鹿にした悪意を感じます。
なんとも全体的に「だらしない」のが嫌悪感を抱かせる最大の要因のようです。
ゴキブリを妖怪視したものではないか、とも言われている火間虫入道。
深夜、こっそり忍び寄り、夜更かししている者を困らせる。
そんな火間虫入道の必殺技は、「灯りを消す」。チロチロと行燈の火を嘗め、消す。
地味だけど非常にイラつきます。しかも出会ってしまえば物凄く不気味。
しかし悲しいことに、現代では電気の普及により火間虫入道の出番は減ってしまいっました。今こそ進化し、夜更かし組の部屋の電気を片っ端から消していくぐらいの事をしてほしいところ。あ、でも困るからやっぱりやめて。
不法侵入だけならまだ目を瞑ろう。
だがキスは許さん!
もしそれがファーストキスになっちゃったらどうするんだ? 責任取れるのか? えぇ? 「山地乳にファーストキス奪われた」なんてクラスに知れ渡ったら苛められちゃうんだぞ? その辺解ってやってんのか? おい!
……もういい。通報したわ。
つぶらな瞳、尖った頭、何かを求める唇、美しいほどに整えられた上半身の毛。
身の毛もよだつ程にこの身の毛立からは「変態美」を感じてしまいます。
重ねた手の甲はあくまでも謙虚であり続ける姿勢を示し、申し訳程度に巻かれた腰巻はいつでも脱着しやすいように簡単に結われています。
「いつ、いかなる時にも、どのような角度から見られても、恥かしくない変態であれ」という変態妖怪達にあるべき姿を示し続ける生ける変態神。
――ざっと紹介してきた様子のおかしい妖怪達。
しかし、最後に紹介する妖怪は他の追随を許さぬ圧倒的変態っぷりを持っています。
もし万が一出会ってしまったのなら……その記憶は永遠にあなたの頭から消えることはないでしょう。
尻目は突然あなたの目の前に現れます。
のっぺら坊なことに驚く隙も無く、尻目はすぐに服を脱ぎはじめ、お尻をあなたの方に突き出します。
お尻を突き出されたことに驚く隙も無く、尻目は尻の真ん中にある目をパチクリします。
尻に目が付いていることに驚く隙も無く、その尻にある目が光ります。
尻目は、一切の無駄の無い動きで、あなたに恐怖を植え付けます。
通報する暇などありません。
あなたが我に返った時、尻目の姿は無く、あなたの頭の中に強烈な変態の記憶として残っているだけなのです。
スピード、インパクト、引き際、その全てにおいて完璧と言うしかない、変態妖怪トップに君臨する尻目はそのような妖怪なのです。
――この妖怪図鑑の中から、一際強烈な妖怪を抜粋してきました。
この項を読んだ後に他の妖怪の事を見ると、なんだかずいぶん普通に見えてしまう筈です。
しかし忘れてはならないのが、妖怪というのは多くの場合「教訓」を僕たちに教えてくれているということ。
この変態達から僕は学びました。
「良い子はマネしないでね」ということを。
更に、「道は間違っていても、突き抜けるほどに極めたモノというのは尊敬に値する」ということも。
変態妖怪は今日もどこかで沸いて出る。