妖怪「網剪」絵解き
『画図百鬼夜行』根性絵解き「網剪」編
貴様はエビなのかなんなのか?
全くもって意味不明で、まともな答えが出せそうにもない予感がプンプンする妖怪「網剪(あみきり)」さんと今回は戦いたいと思います。
まずはその正体不明のフライングザリガノイド、網剪をご覧あれ。
転がっている団扇と、枕(?)。
涼しげな簾がかかっているその真下に、空飛ぶザリガニのようなバケモノの姿。
さて過去に僕が書いた記事を見直すと、どうやらコイツは「蚊帳をちょんぎる」だとか、アミ漁のアミと網とをかけた妖怪だ、とかなんとか書いてある。
んが、コイツが現れているのはどう見ても家の中。網も海も見当たりそうにない。
ほかの情報としては、wikiにもあるが「髪切り」をモチーフに描いたものという情報もあった。
その髪切りがコチラ。
大丈夫なのだろうか。
今のご時勢は「パクリ」に非常に敏感である。(江戸時代では日常です)
とても似ている。というか、かみきりを模して描かれたことは間違いなさそうである。
となると。
この網剪なる妖怪は、「かみきり」を模して、甲殻類の「アミ」と、「網」をかけて作り出された妖怪、ということなのではなかろうか。
家に現われているのはかみきりの名残か、はたまたこれから誰かの髪を切ろうとしているのか。
そう考えると、スダレの下にぶら下がっている何か(無学故ご勘弁を)は、どことなく髪の毛ぼうぼうの人に見えないこともない。
加えて、左に倒れている団扇は、もしかして「左うちわ」を意味してるのでは? なんて思った。
左うちわっていう言葉は、大体の人は右利きなわけで、普通なら右手で団扇を持ってあおぐところを、あえて左手であおぐ――つまり、それほど余裕があったり裕福であったりすることを揶揄する言葉。
まさかこの網剪、これから裕福な人生を送る人物の福をちょん切ろうとしているのではなかろうか?
――まぁちょっと無理があるか。
しかし。
石燕翁の意図をすべて汲むには、落ちている枕(のようなもの)の意味も読み解かねばならないのだろう。
ただそこに関してはかなりいろいろ調べてはみたものの結局わからなかった。
なんにしろ、洒落で創作された妖怪なのは間違いないと思う。
また何かわかったら(というよりも閃いたら)追記したい。