妖怪の見破り方~その美女妖怪につき~
妖怪の見破り方特集
さて今日はちょっとオカルト寄りな記事になりますが、古来より妖怪は美男美女に化けるのが得意と決まっております。キツネもタヌキも河童もイタチも獺も狼もツルも魚も、どういうわけか人間じゃないくせに助平でして美女に化けたがるモンなようです。
逆に美男美女でない場合は、正体云々じゃなく容姿だけで妖怪としてしまう手厳しい昔の方々ですのでそこは置いときます。美男美女じゃない=妖怪、っつぅ暴論が成立しちゃってたわけですからね。こわいこわい。
対キツネ
唐突に貼りつけましたが↑で特集した美人美女妖怪特集の冒頭、玉藻前なんかは特に有名ですね。
何しろ中国では妲己、インドでは華陽婦人、そして本邦では玉藻前と、大陸を股にかけことごとくその高い女子力でもって国をぶっ壊してきた大妖怪、大妖狐ですからね。
キツネとタヌキだと、美人に化けるのはキツネの方が巧いとされています。
確かにタヌキの化ける美女っつぅのはどこか抜けている、言うなれば天然系ゆるかわ女子でして、一方のキツネの化ける美女は凛として「カワイイ」ではなく「キレイ」というタイプの美女。
ゆるかわ女子に化けたタヌキならば、可愛らしく尻尾なんか出してくれちゃったりしてるかも知れませんから判別は簡単でしょう。
しかしキツネは手ごわい。隙が無いです。
そんな時に効果的なのが、いわゆる「眉唾(まゆつば)」。現在での意味は違ってますが、語源は狐狸に化かされないようにするための対処法の一つです。
字の通り、眉毛に唾を付ければいいのです。
これは民間伝承で「狐に眉毛の数を数えられると化かされる」というものがあり、それを防ぐ為に生まれたマジナイらしいです。
「きったね! 臭っせ!」
とか言わずに、試しに人混みで眉に唾をつけてみてください。
どれだけ多くの妖怪が美女の姿で闊歩しているかを知ることができます。戦慄必至です。
見惚れてしまうような美女は実は妖怪かも知れません。貧しい恰好をしているかも知れないけれど、木陰からあなたを優しく見つめているアノ人こそが、真の人間であり、幸福はそこにあるのです。
――ようこそマユツバ記事へ。
対タヌキ
先にも書きましたが、タヌキ美女は実に簡単に正体がわかります。
とにかくよく観察すること。それに尽きます。
でもタヌキ顔美女って可愛いんですよね。僕はいつも「ああタヌキだな」と気付くわけですが、逆に愛おしくなっちゃって正体はバラさずにおきます。
あと、あまり見かける機会も無いのですがバニーガールは概ねタヌキが正体です。
ウサギなのかタヌキなのかややこしいのですが、尻尾を出しててOK、という化け下手なタヌキには大人気な職種なようです。この前タヌキオヤジと皆から言われている人物から聞いたので間違いないです。
妖怪を見破る上で常備しておきたい道具
狐狸を見抜ければまぁ他の動物が化けていることは少ないので大丈夫かとは思いますが、一応あると便利な道具を書いておきます。
まずは塩。
なにかと不浄な物を祓う為に使われているので知っているとは思いますが、塩は妖怪退治道具の筆頭でしょう。
実は特に山の妖怪に効くのですが、まぁ深く考えず美女には塩ふっとけばいいです。
アジシオだと効果が薄いようなのですが、塩の振り易さで言うとアジシオの穴は大きいので、アジシオの容器に普通の塩を詰め替えておくのがオススメです。
こうして僕は多くの美女から嫌われましたが、それはつまり皆妖怪だったという事に他なりません。
あと、普通持ってないんですがとても効果があるのが桃の木の枝。
イザナギが黄泉の国でシコメに追いかけられた時にぶん投げました。本当は桃の実がいいんですが、枝でも効果抜群です。神話ナメンナヨ! とでも言いながら美女を引っ叩けば十中八九妖怪だと解り警察まで出動してくれて職務質問されます。自分が。
あとあと、これも有名ですが煙草も効きます。
とにかく今のご時世は妖怪が多いので喫煙者の皆様は肩身の狭い思いをしているかと思いますご苦労様です。
美女に化けた妖怪が寄ってこないのみならずほとんどの人が寄って来なくなっちゃったりするリスキーアイテムではありますが、まぁその人達は皆妖怪なんだ、とでも思い込んで煙に巻けばよろしいかと思います。
さてどんどんエスカレートしてますが、なんとカワウソには糞尿が効くのだと言います。
流石にうんこを瓶詰で持ち歩くわけにもいかないので、そこは大人らしくオムツにしっかりとセットして出歩きたいところ。事実青森あたりでは憑き物除けとして家の周囲に糞尿を撒いていたこともあるとか。
そりゃ妖怪じゃなくたってイヤですけど。
必殺、名前を呼ぶぅ!
「見越入道、見越したり!」
「ぐわあああああ!」
――でお馴染みの見越入道さん。
妖怪というのは、自分の名前を見破られると退治されてしまうという特性もあります。
とは言え、町で出会った美女の「正体の名前」なんてそうそう解るものではありません。ですが、とりあえず片っ端から叫んでみればいつかは当たりそうなもの。
「タヌキ! キツネ! 猫又! タカ! 河童! パイ! イタチ!」
みたく、しりとりをしているフリをして叫んでみればいつかは美女の「ぐわああああ」が聞けるかも知れません。
美女に化けた妖怪を看破する意味とは?
さんざんふざけたこと書いてきましたが、対処法に関しては実際に使われているものです。昔っから、人は妖怪に騙されないように工夫してきたわけですね。
ところで、美女に化けた妖怪の話というのは伝承伝説問わず沢山ありますが、ほとんどに共通している一つの教訓があります。
「人は容姿ではなく心を見なさい」
ということですね。
そんなありきたりな事ですが、今尚通ずる普遍的な教訓です。
外見ばかりを繕った美女にばかり目をやっていないで、心の清らかな良いヒトを見つけなさい――ということです。
もちろん、妖怪ではない美女だって沢山いますし、逆もまた然りです。
当然、女性に限らず男性にだって当てはまるでしょう。
妖怪にこそ恋したい僕みたいなヤツは別として、どうか妖怪に騙されることなきようこの記事をお役立て下さいませ。
でも妖怪が清らかな人間になったり清らかな人間が妖怪になったりすることもあるから結局わからんと思います。ぶっちゃけた話。