いやいやいや……苦笑
苦笑(にがわらい)
松井文庫所蔵の百鬼夜行絵巻は、化物尽くし絵巻などと共通している点も多い奇書である。
過去にも五体面だとか
べくわ太郎だとか色々紹介したが、
まぁなんというか、苦笑いしちゃう感じの妖怪が多い。
しかも苦笑という名前の妖怪もいるのだからスキが無い。
冒頭画像の苦笑をよく見てみよう。
鳥のような目は美しく開かれている。
口の周りには黒々と髭が生え、真っ赤な唇を強調している。
はだけた着物から覗く獣のような四肢。
中央にボソっと生えているのは腋毛だろうか?
――などと、真面目に観察するのも馬鹿らしくなるほどに全力脱力系苦笑い妖怪。
もう、この手の妖怪については真剣に考えることこそ野暮なのかも知れない。
たぶん、ただ苦笑いしてあげること――それがコイツが一番喜ぶことなんじゃないかと思う。
はは……ははは……