妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

病虫と致死率100%の寄生虫

病虫(びょうちゅう)

医学の発達していなかった昔は、病に掛かると大体が「憑き物」や「病虫」のせいにされた。

実際に寄生虫が元で発症した病もあったのだろうが、神社や寺で信心深く祈れば病も治ると信じていた時代だから、実際の原因特定は困難だったのだろう。

振り返ってみれば、大蜘蛛土蜘蛛(こっちに関しては土蜘蛛自体が何らかの隠喩になっていると思われるのでちょっと違うかも知れないが)、さらに恙虫と、病と虫は様々な話で繋がっていることが解る。

 

で、非常にオカルトチックな実在の寄生虫に、芽殖孤虫(がしょくこちゅう)という虫がいる。

世間一般で有名かどうかはわからないが、恐いのが発症例で最も多い国が日本だということ。

一体何が不気味なのかというと、成虫が解っていない為、全容がほぼ謎なのだ。

体内で無限に分裂を繰り返し、移動を重ねて人間の内側に致命的なダメージを与えて行く。

分裂するのは幼虫のままで、成虫になるには「ヒト」の体ではダメなようで、故に成虫が見つからず解明もできないのである。

そして、解明できていないが故に、現状致死率は100%。入り込まれれば確実に死ぬ、最も恐ろしい病虫になってしまっている。

 

助かるには、要は手術で全ての幼虫を摘出できればよいだけの話なのだが、先にも述べたように「無限に分裂し続ける」のでお手上げなのだ。

 

一つの実例として、熊本県は天草の女性を襲った芽殖孤虫の話を紹介しよう。

――当時まだ十代後半だった女性が、友人と遊んでから帰宅すると、突然寒気と頭痛に襲われた。

翌日になっても痛みが引かず、次第に食欲も無くなり、左ももの内側に赤い腫れ物が出来始めた。

ようやく病院に行き切開してみると、そこからは大量の膿と共に白い虫が出てきた。

女性はその後入院することになったのだが、何度も手術を受けるが虫を取り切ることはできず、結局死亡してしまった。

女性の死体を解剖した結果、脳から足まで、まさに全身全てが謎の虫に寄生されていたそうだ。

 

食事の箸もピタリと止まる最低な寄生虫である。

どのような経路で寄生されるのかははっきりとしていないようだが、爬虫類などを食べた経験がある人に発症した例が多いようなので、トカゲの丸焼きが大好きな黒魔術師な方は注意したほうがいいかもしれない。

↑の実例の場所は、熊本県天草。ココはピンと来た方も多いだろうが、油すましの出没地でもある。

この虫と油すましは特に関係無いが、希有な寄生虫だからと言ってなめてかからず、油すましの名言「今でもいるぞー」を胸に刻んで何か妙な病にかかったらすぐに医者に行くことを徹底せねばならないだろう。

 

病虫も、そのほとんどが違う病だと判明してしまったかも知れないが、芽殖孤虫のように未だに病虫を地で行くヤカラもいることを忘れてはならない。

病は気から。稀に虫から。