最強妖怪決定戦~妖怪一武道会~
最強の妖怪を決めるのです
惜しくも予選落ちした有名妖怪達
この枷により、多くの「最有力候補」達が落選するという波乱に満ちた展開になっております。
ダイダラボッチ――土俵を足だけで軽々超えてしまった為に落選。
本戦出場妖怪一覧
その祟りは数百年効く! 崇徳天皇(すとくてんのう)
触れる事すらできぬ逃げ足! ぬっぺふほふ
美女かはたまた妖狐か⁉ 玉藻前(たまものまえ)
とにもかくにもバックスタブ! 後神(うしろがみ)
風と共に切りぬ! 窮奇(かまいたち)
妬みは女を蛇にする! 清姫(きよひめ)
秘めたポテンシャルは無限大! 河童(かっぱ)
鬼を統べる鬼界の鬼! 酒呑童子(しゅてんどうじ)
見たら即死! 輪入道(わにゅうどう)
轟く恐声は雲を引き裂く! 鵺(ぬえ)
まだ伸びる! まだまだ伸びる! 見越し入道(みこしにゅうどう)
ザ・暴力! 狒々(ひひ)
最後に、人間界からも一人だけエントリーさせちゃいます。一人ぐらいアクセントとして人間を入れちゃうのも面白そうですからね。要はミスターサタン枠です。
徳川吉宗は御庭番、神をも畏れぬ植村政勝!
妖怪界最強吟味のお時間です
ではこの中から最強を決めるべく様々な角度からシミュレートしてみます。
ざっと見て、まず最強になりそうにないのが、ぬっぺふほふでしょうか。
何しろ逃げてばっかりですから、時間制限を設けていないのでいつかは捕まってボコられちゃうでしょう。戦う力は皆無でしょうし。というわけでぬっぺふほふは敗戦。
次に一見めちゃくちゃ手ごわそうな覚(さとり)。
しかし彼は人語は理解するものの動物語まで理解するとは書いてありません。対人(対植村、対崇徳等)はめっぽう強いでしょうが、窮奇(かまいたち)あたりに切り刻まれて敗戦。キャラが若干被ってる狒々(ひひ)にもフルボッコです。
鵺(ぬえ)と酒呑童子(しゅてんどうじ)も、有名ですし粘って欲しいところですが、この2妖怪が有名なのは「退治譚」のお蔭です。様々な物語で負けまくってる妖怪は最強の名にふさわしくないでしょう。故に敗戦。
ちょっと待って一匹だけチート能力がいる! って感じの輪入道(わにゅうどう)。
確かに「見たら即死」はとんでもチート能力なのは確かですが、弱点があります。「此所勝母の里」と書いた札を見せるだけで、一気に弱体化してしまうのです。
その辺りの知識は凄そうな崇徳天皇(すとくてんのう)なんかには対策されて封じられてしまうであろうと思われるので、敗戦。
次にその崇徳天皇(すとくてんのう)はどうでしょうか?
僕は過去何度も書いてますが、崇徳院は元は凄く優しい方です。最後は鬼やら天狗やらに変じて恐ろしい祟りを残しますが、瞬間的な火力は全然ないと思われるのです。どう考えたって狒々(ひひ)にすら勝てないおじさまだと思うのです。敗戦。
河童(かっぱ)。今回の試合は土俵で行いますから、相撲大好きな河童こそ最強なのでは? と思われましたが理屈抜きの暴力獣狒々(ひひ)にボッコボコに。狒々最強なんじゃね? 説が濃厚になってきました。
見越し入道(みこしにゅうどう) 。どんどん大きくなる見越しさんですが、今回は特別枠で植村政勝さんが参加していることを忘れてはなりません。
植村さん、見越し入道が大きくなる秘密を「移ろう陽光が作る影である」と一撃看破。「見越入道、見越したり!」
植村さんの快進撃はまだまだ続きます。
江戸の勇者記事で書いたように、九尾の狐が退治された後、殺生石となり各地に散らばりましたが、その怨念凄まじい殺生石を砕いて舐めて持ち帰ってしまったのが植村さんその人。
しかし今回は玉藻前(たまものまえ)の参加です。殺生石ではありません。
最強の妖力、傾国の美女力、玉藻前は狐へと姿を変え――植村政勝絶体絶命!
と思いきや、植村さん狐の尻尾に「MADE IN CHINA」のタグを発見。更に襟首からは「MADE IN INDIA」のタグ。大会運営に対し「露骨な輸入妖怪は除外となっていたはずだが?」と抗議し、玉藻前を急遽失格へと追い込みます。
この男、キケン!
が、直後に清姫(きよひめ)に巻きつかれ焼き殺されました。敗戦。
窮奇(かまいたち)。僅かな風切傷など、真の化物妖怪には全く効きません。どう考えても清姫、狒々あたりにやられてしまうでしょう。
「可愛らしさなんてなんのタクティカルアドバンテージにもならないのだよ」by蛇の人
敗戦。
さぁさぁ随分絞られてきました。
力こそ正義な狒々、鐘を焼く程の火を吐く清姫。
お気付きでしょうか?
僕はこれを書きながら、ずっと考えていたのです。
後神(うしろがみ)の欠点は無いのか? と。
ずっと後神だけスルーしてきました。
なぜなら……
何度考えようとも後神が最強であるという結論に至ってしまうからです。
いかなる状況でも、後神は背後を取り続けるのです。
いかに狒々が暴力的でも、後ろにいられたのでは手出しできません。
いかに清姫が巻き付こうとし、火を吹こうとも、後ろにいられたのでは当たらないのです。
しかし一つ疑問。
後神に攻撃力はあるのか?
これがなんと、あるのです。
一説には、「口から物凄く熱い息を吹く」とあります。更に、傘を吹き飛ばすほどの風を操るともあります。
火ではなく「熱い息」なのがまたなんとも微妙ではありますが、延々と背後を取られ、熱い息を吹きかけられ続け、風を浴びせられ続ける。風に当たり続けるという事は、ピンと来ないとは思いますが体力を消耗するのです。加えて熱い息。これを繰り返されたらどんな妖怪も参ってしまうと思うのです。
それこそ肉体ではなく精神が崩壊してしまうでしょう。
もう間違いないでしょう。
武力での戦いにも関わらず、妖怪らしく精神を攻め、見たくとも常に背後を取る為にろくに姿も見れない。
相応しい。実に相応しいと思うのです。
しかも、後神は臆病神の一種とも言われています。
臆病神が最強の妖怪になる――面白い。実に面白いです。
結論
最強の妖怪は、後神!
背後に気配を感じたら、それはきっと最強の妖怪後神さんがそこにいる証なのです。
異論もありましょうが各々脳内でやってみて下さい。きっと後神さんが上位に食い込んでくるのは間違いないと思います。