妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

甘エビ甘エビ甘エビ! ではこの妖怪は? アマビエ(あまびえ)

アマビエ(あまびえ)
 
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こんばんは、山下達郎です。
ーーとでも言い出しそうな風貌の妖怪「アマビエ」は、件(くだん)などの予言系妖怪の一つ。
冒頭で貼った画像は当時の瓦版のもので、件と同じく実際に世間を賑わせた妖怪であることが解る。
アマビエが現れたとされるのは肥後(熊本県)。毎晩海中で怪しく光る何かが出たので、それを調べるために役人が赴くと、↑の絵のような妖怪が海から出てきて、
「私は海中に住むアマビエというものです」
と名乗り、さらに
「今年から六年間は諸国豊作でしょう。、しかしその後もし病気が流行るようなことがあったら、私の姿を描いたものを人々に見せてください」
と言い残し、海中へと消えていったのだという。
似たような話で「あまびこ」という妖怪も伝わっており、アマビエはあまびこのことなのではないか? という説もあるが真偽は不明。
 
このアマビエ、容姿もクチバシがあったりロン毛だったり、半身が魚だったりと、なんとも不気味である。しかし独特過ぎるせいか、現代では圧倒的に件の方が知名度がある。なんだか色々と惜しい妖怪である。
 

アマビエ(甘えびではない)の伝承を祖父が語る

私の祖父は、この界隈でも有名な妖怪マニアでした。

マニアではあっても見たことは無いらしく、私が「どうせいないよ」と言うといつもションボリとしてしまいます。

しかし、祖父が「昔の新聞で妖怪出現がニュースになったこともある」と言い、何度も何度も私に話してくれたアマビエについて少しご紹介いたします。

そのアマビエについて話すときだけは、祖父はことさら熱意を持って話すのです。おそらく、現実世界に証拠が残る珍しいケースだからだとは思うのですが。

実は、その新聞(瓦版)の記事が上の画像です。

アマビエが出現したのは江戸時代の熊本県(肥後国)で、海中が光っているのを目撃した人が通報したところ、次に来てみると人魚のような生物が出現していたというのです。その生物はアマビエと名乗り、さらには「今後6年間は豊作になるだろう。また、もし万が一疫病が流行るようなことがあれば、この姿を絵で描き、人々に知らせるといいだろう」と言ったそうです。
そこで当時の人々は慌てて瓦版に絵を描き、広めたらしいです。


私はよく祖父に聞きました。

「なんで妖怪さんが喋るの?」

と。祖父は、「人間ごときが喋れているのに妖怪が喋れないわけない」と言っていました。

また、そんな自己主張の強い妖怪ってどうなの? といった質問もしたのですが、それについては「たまには目立ちたい時もあるんじゃ」のようなことを言っていました。

因みにですが……幼い頃からその話を聞いていた私ですが、どうしても「アマビエ」という名前が覚えられず、いつも「アマエビ」と言ってしまっていました。その都度祖父は真剣な顔で「エビじゃない!」と怒っていました。

なのに、酔ってその話をする時、よく祖父も「アマエビ」と言ってしまっていたことを私は知っています。

祖父曰く、海に纏わる妖怪や怪物というのは、日本だけでなく世界中でも「予言・予知・除災」に関係する言い伝えが多いのだそうです。
そのため、江戸時代に現れたアマビエも、人魚の一種ではないか? と考えられているそうです。
ただ、私には尖った口がどうしても気になり、何度も祖父にその質問をしました。


そして私が忘れもしない、2008年の夏の夜――

「ねぇ、結局アマビエの口が尖ってたのはなんでだったの? 鳥だったんじゃないの?」

と、少し祖父の晩酌に付き合って酔っていた私が尋ねた時です。祖父はべろべろに酔っていて、確かにこう言ったのです。

「エビだからじゃ!」

……おじいちゃん……エビでいいのかよ……。