妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

奪衣婆(だつえば)と懸衣翁(けんえおう)

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地獄の沙汰も金次第。いやいや、地獄の沙汰は奪衣婆と懸衣翁次第である。
 
まずあなたが死んだ際、三途の川に行くことになる(子供なら、三途の川沿いの賽の河原へ)。
そこには泣く子も黙る鬼のような婆さんである奪衣婆と、泣く子も失神するガチ鬼な爺ちゃんの懸衣翁が待っている。
 
あなたは死んだ時の服を着ているが、このマジ鬼婆さんはとりあえずあなたの服を脱がす。嫌がってもダメ。
そしてその服を爺ちゃんにパスして、爺ちゃんが衣領樹(えりょうじゅ)という木に掛ける。
「ちょっと! 私の服が破れちゃったらどうすんのよ!!」とか言ってもダメ。
そしてその木の枝のしな垂れ具合であなたの罪の重さが決まる。
まさに地獄!
 
――さて、奪衣婆と懸衣翁は一般的には↑のような役割と言われる。
しかし地獄や三途の川の観念というは、インドに始まり中国を経て、日本へ色々な思想を吸い込んで伝来してしまっており、もちろん日本でも得意の独自アレンジが結構されているのではないかと思われる。
 
例えば、三途の川の渡り賃として有名な六文銭。死んだ者は六文を持っていればそれを払って三途の川を船で渡るのだが、持っていない場合には奪衣婆が代わりに服を剥ぎ取ってしまう――という地獄システムもこれまた有名である。
 
正直なところ、地獄の全容を知ろうにも勉強不足な僕にはとても難しそうに思えた。
例えば、三途の川はただの境界であるから、そこで罪の重さを判断するような事は無いし、そこで罪状確定しちゃうなら閻魔様いらなくね? とか思っちゃう。
 
因みに三途の川の三途とは三悪道のことで、「地獄道」、「餓鬼道」、「畜生道」のこと。
つまりはどの道もキツイものであり、どれも地獄である。が、平安時代までは善人も三途の川で奪衣婆の審査を受け、安全な橋を渡って通ることになっていたりする。
(因みに他の罪人達は鬼にぼこぼこにされたり弓を撃たれながら根性で川を渡る)
それがいつしか橋を渡るという部分がなくなり、皆船で渡る六文銭三途の川のイメージになっていったらしい。
 
――とにかく色んな宗教の人が各々の死後の世界の観念なんかを地獄に詰め込んで広めようとした結果、一般的な地獄というのも最早よく解らない漠然とした「罪人が行くキツイとこ」みたいになっちゃったのではないだろうか。
故に調べれば調べる程ややこしくて解らなくなり、また元に戻っていたりする。
なるほどこれもまた地獄か。
 
ところで、奪衣婆と懸衣翁の記事を書いていたはずなのにいつの間にかジジババの姿が見えなくなってしまった。どなたか恐いジジババの姿を見かけたら知らせて欲しい。
連絡先はフリーダイヤル0130-459-459、お~いサンズのジゴクジゴク、まで。