妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

キマイラと鵺の類似性 ~世界の怪物と日本の妖怪研究その1~

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世界の怪物と日本の妖怪研究、記念すべき第一回である。

色々と迷ったのだが(調べるほどに、日本の妖怪に似ている世界の怪物、伝説上の生物というのはいっぱいいた)、比較的知名度のある鵺(ぬえ)と、同じような合成獣であるギリシャ神話のキマイラ(キメラ)から始めてみることにする。

 

さて、キマイラと聞くと、多くの厨二病患者の方々はゲームなどのモンスターを思い浮かべると思う。ドラクエの鳥野郎でキメラというヤツもいたし(あれは一応、尻尾部分が蛇という設定なのでただの鳥ではない。どう見てもただの鳥だが)バイオハザードにも人間と虫が合成されたキメラが出てきた。

当然ギリシャ神話を元にしたキマイラが多いのだが、広い意味では「異なるモノを合わせた」という意味で使われることもあり、合成獣であればなんでもキメラになってしまう風潮が現代にはある。

それはともかく、オリジナルのギリシャ神話のキマイラは、「ライオンの頭、山羊の胴体、蛇の尻尾」を持つ。

さて、ここで日本の妖怪に頭を戻してみて欲しい。そういえば日本にもキマイラのように「色々合わさったヤツ」がいた。そう、である。

 

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歌川国芳画
 
鵺は、「猿の顔、虎の手足、狸の胴体、蛇の尻尾」である。
ちょっと考えただけでは、「色んな動物混ぜて怖いモンスターにしちゃうなんてどの国でも考えつくだろ」と思い、この研究も終了! となりかねないのだが、もう少しだけ深く考えてみたい。
 
我が国の鵺さんは、『平家物語』などに書かれており、源頼政によって弓を射られて撃ち落とされ、さらに逃げようとした鵺を猪早太が捕まえトドメを刺した。
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『新形三十六怪撰』より
 
一方のキマイラは、ベレロポーンという英雄がペガサスに乗って、鉛の付いた槍をキマイラの口の中にぶち込み、窒息死させて退治した。
 
深読みしてみる。
まず、どちらも退治するのに飛び道具を使っている。そして、どちらも相方を連れている。ベレロポーンはペガサスに、そして源頼政は猪早太。ん!?  猪、早太?
もしやペガサスに対し、日本版アレンジとして猪にしちゃったのでは? 人だけど、猪に跨って弓を射るわけにはいかないので渋々名前に動物を入れた、とか。
因みに猪早太は実在の人物であるが、『平家物語』などは当然ほとんどが創作である可能性は高く、強引に動物の名の付いていた人物を鵺退治に同行させたのでは、と考えることもできる。
つまり何が言いたいのかというと、
ギリシャ神話をモチーフに、鵺退治の物語は作られたのではないか?
ということである。
年代的には、ギリシャ神話が成立したのは紀元前2000年。そして平家物語が出来たのは西暦700年頃(推定)。
どのような形かはわからないが、ギリシャ神話が日本にも伝えられており、それから着想を得て鵺退治が生み出されたと考えても見当外れでは無いはずだ。
突飛な憶測であることは認めるが、可能性はゼロではない、ということは解ってもらいたい。
 
因みに、ギリシャ神話と日本神話は多くの類似性があると言われている。
もし仮に、僅かでもギリシャ神話を参考に日本神話が作られたのだとしたら、この鵺とキマイラの関係も無視できない重大な事になると思う。
 
結局、限界のある僕の調べ方ではわかるのはここまで。しかし今後もし同じような怪物と妖怪を見つけられたのなら、更にこの説は可能性の確率を上げられるものだと思っている。
 
結論
ロマンだね!