妖怪うぃき的妖怪図鑑

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入雲龍公孫勝(にゅううんりゅうこうそんしょう)

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『和漢百物語』より「入雲龍公孫勝」
 
風よ吹け! 嵐よ怒れ! 龍よ出でよ!!
まさにそう言わんとしているかのような荒々しい海でカメラ目線で祈るは中国『水滸伝』の英雄の一人である公孫勝。
この芳年の『和漢百物語』における数少ない中国の物語を描いた作品の一つである。
解説文によれば、公孫勝は奇術を学んだ豪傑であり、雲を呼び、雨を降らせることができたらしい。
さらに水に向かって印を結べば、暴風吹き荒れ波は荒ぶり、龍を召喚することもできたのだという。
そんなんで彼に付いたアダ名が「入雲龍」だとか。
 
さて、なぜいきなり『和漢百物語』に水滸伝のキャラクターが現れるのかというと、実は江戸時代には水滸伝ブームが起きたことがあった。
そしてそのブームに乗って『水滸伝武者絵シリーズ』で一躍有名になったのが、芳年の師匠である歌川国芳だった。
故に芳年も師に倣って水滸伝の絵はよく描いたし、得意なのだ。
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上の画像は、師匠の歌川国芳が描いた「入雲龍公孫勝」の絵。
流石師匠の国芳とだけあって芳年とは違う凄さがある。
師弟で同じ画題のものを描いていると、こういう見比べ方ができるので面白くって良い。