妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『和漢百物語』渡辺源治綱

渡辺源治綱
『和漢百物語』より「渡辺源治綱」
 
源頼光四天王の中でも特に武勇に秀でていたのがこの渡辺綱(わたなべのつな)。
こちらの絵は以前石燕の羅生門鬼でも紹介した、羅生門での渡辺綱と鬼の激闘のシーン。芳年の斬新かつ奇抜すぎる絵のお蔭で、鬼の姿も見えずそうとは解らないかも知れないが、しっかり解説文にはそのことが書いてある。
 
渡辺綱を襲った鬼に関しては、一条戻橋と羅生門バージョンの二種類あり少しややこしいのだが、こちらはもちろん羅生門バージョン。
 
羅生門に住みつき人々に迷惑かけまくりな鬼を綱が退治しに行くと、雷鳴轟き豪雨となり、恐ろしい鬼が待ち構えていた。
しかし綱は恐れることなく立ち向かい、鬼の右腕を切り落とすと、鬼はたちまち逃げていった。
 
――というのがこの場面の流れ。
 
まさに今鬼に立ち向かわんとする綱の渋い顔もイイカンジで、さらに斜めに無数に描かれたラインは雨の強さを現しており、それに立ち向かう綱と馬の姿がなんともかっこいい。
月岡芳年のセンスが出まくりの一枚である。