札返し(ふだがえし)
『狂歌百物語』より「札がえし」
札返しは狂歌百物語に出てくる妖怪。
妖怪というのは、厄除けの護符や御札を貼られているところには侵入できないらしい。
しかしどうしてもその家などに入りたい場合もあるのだろう。
そんな時に活躍するのがこの「札返し」。
札がえしは、直接そのような御札を剥がせるのではなく、人間を誘惑して剥がさせたり、賄賂を渡して買収して剥がさせたりするのだという。
なんとも地味な妖怪である。きっと妖怪としての地位も低いのではなかろうか。
因みに札返しに協力してしまった人間は、感謝されるのではなく、不幸な目に遭うのだと言う。下心から他人の家の札を剥がしたのだから仕方ないと言えば仕方ない。
狂歌百物語にも、玄関に貼られたお札を前に「なんまいだぁ」と数える幽霊のことが書かれていたりする。
今日もご苦労様です札返しさん。