狐の嫁入り(きつねのよめいり)
葛飾北斎『狐の嫁入図』
狐の嫁入りは、有名な怪異ではあるものの、定まった形を持たず、様々に言い伝えられている。
一般的には天気雨が降った際には狐の嫁入りが行われている、と言われることが多いかと思う。
なぜ天気雨を狐の嫁入りのサインとしたかは、単に天気雨自体が珍しく、また「晴れているのに雨が降る」という不思議な雨がまるで狐に化かされているかのように感じるからである。
確かに僕なんかも天気雨にあたると不思議な気持ちになるし、違和感も感じる。それを昔の人が「キツネの仕業」とするのも仕方ない気がする。
また、天気雨とは別に、怪火でも狐の嫁入りとされるものがある。
特に、夜間山間部にて見られる長く連なった怪火は、それが狐達の嫁入り行列の提灯の明かりとされ、これまた「狐の嫁入り」とされる。
野で見られる怪火に狐火というものもあり、連なる怪火が地域によっては狐のせいになるのも不思議ではない。
江戸時代になると、今度は「実際に狐の行列を見たんだ!」と言い出す者もあらわれる。
江戸時代と言えば妖怪や怪異は一つの娯楽であり、かなり眉唾ものではあるのだが、とにかく目撃者がいたようだ。
北斎が描いた『狐の嫁入図』↑はなかなか面白い絵になっていて、天気雨が降り、粛々と行われる中、雨に驚き片づけを始める人間が同時に描かれている。
こうして狐と人は共存していたのか!!