足洗邸(あしあらいやしき)
歌川国輝『本所七不思議之内』より「足洗邸」
東京都墨田区に伝わる本所七不思議の内の一つである「足洗邸」の怪異。
実にシンプルで実に不気味な怪異である。
どういう怪異かと言うと、毎晩天井裏から「 足を洗えぇぇぇ」という声がする。
その声がすると、天井を突き破って汚い毛むくじゃらの足が降りてくる。
邸の者が足を洗ってやると満足そうに足はひっこむが、もしそれを無視すると足が暴れて天井をぶち壊してしまうのだという。
堪り兼ねた邸の主が、その話に興味を持った友人に試しに邸を交換してもらった。するとその足はもう二度と現れなかったという。
ーーこれは一体何を伝えようとした怪異なのだろうか?
足を洗う、という言葉は犯罪者が更生する際にも使われる言葉であるから、例えばこの邸の主は悪い事をしていて、それで足の妖怪がやめさせようと現れたーーとか。
またはこの邸の家人に惚れていた男が、どうしても足を洗って欲しくて、死んでもその想いは消えずに妖怪となって現れたーーとか。
もし現代で現れたとしたら、近場のお台場にある大江戸温泉物語の足湯でもオススメしてあげれば、きっと難なく成仏してくれる気がする。テルマエ!