妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

小幡小平次(こはだこへいじ)

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葛飾北斎『百物語』より「こはだ小平次」
 
北斎の妖怪画でも有名なこのこはだ小平次。
小平次は実在した人物を元に創作された歌舞伎などの登場人物である。
小平次がどういう人物かと言うとーー
 
小平次は役者を目指していた。しかし容姿のせいもあってかなかなか役を貰えない。
ところが逆にその不気味な顔を利用して幽霊役をやってみると、これが評判になり、幽霊役のみ専門の役者となれた。
 
小平次にはお塚という嫁がいたが、お塚は違う男と浮気していた。浮気相手の男にとって小平次は当然邪魔者。そこで小平次を釣りに誘い、沼に突き落として殺してしまう。
 
これでようやくお塚独り占め! と勇み足で帰った男だったが、なんと家には殺した筈の小平次が寝ていた。
小平次は普段から幽霊の役作りに真剣だったため、それが幽霊の小平次なのか、それとも幽霊の役になりきっている小平次なのか、男にはわからなかった。
そして男は恐怖のあまりに発狂し、死んでしまう。
さらに浮気していた嫁のお塚も、様々な怪異に会い、最後は死んでしまい、めでたしめでたし?
 
 
ーー幽霊顔だから幽霊役しかできないというのはなんとも悲しい。さらに浮気されて殺されちゃったらそりゃ怨みもするだろう。
 
余談だが、歌舞伎で怪談ものの興行をする際は、現在でも祟りなどを受けないようにちゃんとその演目に所縁のある墓に参ってからするのだという。さらに興行中は決して飲み歩いたりせず、舞台が終われば家に直帰するのだとか。
怪談はやはり舐めてかかると痛い目に遭うのだろう。これマメな。