鳴釜(なりがま)
『百器徒然袋』より「鳴釜」
鳴釜は、釜が付喪神となった妖怪。
石燕の解説文は漢文となっているが、頑張って書く。
「白沢避怪図曰 飯甑作声鬼名斂女 有此怪則呼鬼名 其怪忽自滅 夢のうちにおもひぬ」(レ点等抜いてますごめんなさい)
さて一体どういう意味だろうか?
恐らく最初の「白沢避怪図」は、白澤が中国の黄帝に授けたと云われる、様々な怪異への対処法が書かれた図だと思う。
その次に「飯甑作声鬼名斂女」。読みは「はんそうこえをなすきをれんじょとなづく」。どーゆーいみぃ?
飯甑は、恐らくこの飯を炊く釜の事。斂女とは、閑窓瑣談という書に出てくる鬼の事で、釜が音を鳴らしたら鬼が出てくるぞ、という意味だろうか?
その後には、「この怪があった時にはその鬼の名前を呼べば、怪は自ずから消える」と書かれている。
なるほどなるほど。
また、岡山県の吉備津神社には、鳴釜神事というものがあり、それも元になっているとか。それは釜の音で物事の吉凶を占うものであり、この石燕の鳴釜も絵馬を掲げて跪いているのは占い中なのかもしれない。
しかしながら、釜から毛むくじゃらの鬼が出てくるなんて、食品衛生上非常によろしくない。せめて手洗いだけはしっかりして欲しいものである。因みに、時間をかけて雑に手を一度洗うより、短時間でもいいから二回に分けて手洗いした方が殺菌できる割合は遥かに高い。ものすごく話が逸れてしまってもうどうやって終わろうかこの記事――なんて夢心地におもひぬ。