皿かぞえ(さらかぞえ)
『今昔画図続百鬼』より「皿かぞえ」
ある家の下女十の皿を一つ井におとしたる科によりて害せられ、その亡魂よなよな井のはたにあわはれ、皿を一より九までかぞへ十をいはずして泣き叫ぶといふ
此古井は播州にありとぞ
お菊虫でも書いたように、この妖怪「皿かぞえ」もまた皿屋敷物語が生んだ怪異の一つである。
皿を割ったことにより手酷い仕打ちを受け、最後には身を投げて死んでしまったお菊が、虫になったのが「お菊虫」、そしてこちらは火となり夜な夜な皿を数え続ける妖怪となったようだ。
凄まじいほどの怨みである。
石燕の解説には、この皿かぞえは皿の枚数を一から九まで数え、十は言わずに泣き叫ぶという。
皿屋敷伝説では、誰かが代わりに「十!」と言ってあげるとよい、なんていう言い伝えがあったが、この皿かぞえにも通用するのだろうか?
ぜひ試してみたいところである。
また、月岡芳年も皿屋敷のお菊を幽霊として描いている。
『新形三十六怪撰』より「皿やしきお菊の霊」
お皿一枚ぐらいいいじゃないの! もう誰か許したげて!