妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

油赤子(あぶらあかご)

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『今昔画図続百鬼』より「油赤子」

火の玉になりスゥっとやってきて、赤ん坊の姿になり油を嘗め盗んでいく妖怪。

なぜ赤子の姿かというのは……バレた時に許してもらいやすいからだろうか?

油を盗むタイプの妖怪は地味に多い。その理由は、当時(江戸時代、あるいはそれ以前)油というものは食用としてだけでなく、絵のように行燈に火を灯す際に欠かせないものであったりと、とにかく貴重な物だった。

故に油盗み系妖怪は、概ね「貴重な油を粗末にするな」という教訓の元で作られたモノがほとんどなのではないだろうか?

時代は移ろい、今では油で火を灯すような粋な照明は廃れてしまった。

油赤子は、現代で言うならば「石油赤子」だろうか?

そしてこれが更に時を経ると、「メタンハイドレート赤子」にな……るわけないでしょ。

 

画中解説文

近江国大津の八町に玉のごとくの火飛行する事あり。

土人云 むかし志賀の里に油をうるものあり、夜毎に大津辻の地蔵の油をぬすみけるが、その者死て魂魄炎となりて 今に迷ひの火となれるとぞ。

しからば油をなむる赤子は 此ものの再生せしにや。

 

うぃき訳

近江は大津の八町に、玉みたいな火が飛ぶことがあるよ。

そこに住む人達いわく、昔志賀の里に油売りがいて、夜毎お地蔵さんの油を盗んでたんだけど、その人死んじゃってから魂が炎になって今も迷える火になった――だって。だとしたら油を嘗める赤ちゃんは、その人の再生した姿かもね。

 

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