提灯火(ちょうちんび)
『今昔画図続百鬼』より「提灯火」
田舎などに提灯火とて畦道に火のもゆる事あり
名にしおふ夜の殿の下部のもてる提灯にや
提灯火は日本各地に伝わる怪火の一種。
正体は狐であるとも言われるが、徳島県等では狸の仕業とされていたりする。
絵をよく見ると解るのだが、石燕は恐らく提灯火を狐の仕業として描いたのだろう。
マジな事を書いてしまえば、怪火の類は似たような物が多く、名前と正体だけが色々あるだけで、厳密に言えばそんなに種類はないような気がする。
それこそ地域によってタヌキをムジナと呼ぶ――のような感じで、ある地域ではそれを〇〇〇火と呼び、ある地域では提灯火と呼び――という具合なだけなのではないかと僕は思う。というかそうなんだろう。
ではなぜ呼び名が変わるかと言えば、それが目撃された地域の、特徴的な風土であったり、その地域で多く生息している動物が関係してきたりするので、なるほど本当に妖怪(怪異)を調べることは日本の文化を知ることにもなるのだな、と改めて解るのだ。