寺つつき(てらつつき)
『今昔画図続百鬼』より「寺つつき」
物部大連守屋は仏法をこのまず、厩戸皇子のためにほろぼさる
その霊一つの鳥となりて、堂塔伽藍を毀たんとす
これを名づけて、てらつゝきといふとかや
寺つつきは寺などをツツいて壊そうとする鳥の妖怪。絵だけみるとおじさんが本体かと思うが左上の鳥が妖怪なので間違えないよう。
石燕の解説文に依れば、物部守屋が聖徳太子と蘇我馬子に滅ぼされ、怨みで妖怪に姿を変えて寺をつついて壊しにくるのだという。
もっと強大な怪物にでも化ければいいものを、なんともいじらしい化け方である。
これらの逸話は、馬子に滅ぼされた守屋の史実に基づく伝承から石燕が創作したものだと思われる。
因みに『今昔画図続百鬼』では次の項が入内雀という妖怪で、鳥系妖怪のコンボとなっている。