蟹鬼(かにおに)
『化け物尽くし絵巻』より「蟹鬼」
蟹で鬼な妖怪。
やっぱり謎が多い『化け物尽くし絵巻』であり、この妖怪も詳細は不明。
絵から色々推測してみると、まず牙が黒いのが気になる。
お歯黒だとしたら、既婚者? あるいは北海道産だと思いほうばっていたら後からロシア産の蟹だと知り、その怨みで鬼と化した女性の妖怪だ――とでも言うのだろうか?
更に、甲殻が緑色なのも気になる。
もしかしたら江戸時代の誰かが、舶来の珍しい「チチュウカイミドリガニ」でも見て、「これは妖怪じゃ! 鬼じゃ!」と言い出したことがきっかけで産まれた妖怪……だったりして。
あとは顔に毛が生えているのも気になる。単に蟹の甲殻に生える毛を現しているのか、それとも人間のヒゲ、老人の顔毛を描いたものなのか。
とにかく、角と牙を描いておけば「鬼」と名付けてなんらおかしくないとしてしまう風潮の良い例である。