妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

夜の楽屋(よるのがくや)

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『絵本百物語』より「夜の楽屋」

 
夜の楽屋は、妖怪というよりは人形に霊が籠るという類の怪異。
『絵本百物語』によるとーー
 
人形には、遣う人間の魂が入りとどまることは芝居に携る人々のよく知るところだ。
夜の楽屋で高師直(こうのもろなお)と塩谷判官(えんやはんがん)の人形同士が一晩中争っていたこともある。
丑三つ時に楽屋に入れば怪現象が起きる、というのももっともなことだ。
 
ーーまた、『絵本百物語』の本文には、人形師土斎(どさい)の詠んだ歌がある。
「捨てねども
家こそでくの坊主なれ
鬼も仏も
手づくねにして」
意味はーー捨てはしないが、手でこねて作った鬼や仏の像に比べれば家なんか役立たずだよなーーである。ふむふむなんか深い。
 
現代でも日本人形なんかはじっと見てると怖い。それを古い時代の人も当然感じていた。
人形は魂の器でもある。人形をじっくり眺めていると、それが間違ってはいないのではないかとすら思えてくる。