妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『今昔百鬼拾遺』

隠れ里(かくれざと)

『今昔百鬼拾遺』より「隠れ里」 『今昔百鬼拾遺』を締めくくる最後の項がこの「隠れ里」である。 解説文は一切無いものの、絵を眺めているだけで常世とは違う、仙郷のような場所であることが伝わって来る。 しかしこの隠れ里、何も創作上だけのものではない…

白澤(はくたく)

『今昔百鬼拾遺』より「白澤」 黄帝東巡 白沢一見 避怪除害 靡所不徧 摸捫窩賛 白澤は、中国に伝わる聖獣であり、万物を知っていて人の言葉も理解するとされる。 しらさわ、と読み間違えないようにしないと恥ずかしい。はくたく、である。 白澤は頭に三つの…

狂骨(きょうこつ)

『今昔百鬼拾遺』より「狂骨」 狂骨は井中の白骨なり 世の諺に、甚しき事をきやうこつといふも、このうらみのはなはだしきよりいふならん 狂骨は井戸からぬらりと出てくる骨のような妖怪。 石燕の解説文には、「狂骨は井中の白骨なり。世の諺に、甚しき事を…

目目連(もくもくれん)

『今昔百鬼拾遺』より「目目連」 煙霞跡なくして、むかしたれか栖し家のすみずみに目を多くもちしは、碁打のすみし跡ならんか 目目連は、家中に目が現れるという非常に不気味な妖怪である。 「煙霞跡なくして、むかしたれか栖し家のすみずみに目を多くもちし…

屏風のぞき(びょうぶのぞき)

『今昔百鬼拾遺』より「屏風のぞき」 翠帳紅閨に枕をならべ、顛鸞倒鳳の交あさからず、枝をつらね翼をかはさんとちかひし事も陀となりし胸三寸の恨より、七尺の屏風も猶のぞくべし 屏風のぞきは、なんともいやらしい顔つきで屏風の上から覗いてくる変態。い…

硯の魂(すずりのたましい)

『今昔百鬼拾遺』より「硯の魂」 ある人赤間ヶ関の石硯をたくはへて文房の一友とす ひと日平家物語をよみさして、とろとろと居ねぶるうち、案頭の硯の海の波さかだちて、源平のたゝかひ今みるごとくあらはれしとかや もろこし徐玄之が紫石譚も思ひあはせられ…

茂林寺釜(もりんじのかま)

『今昔百鬼拾遺』より「茂林寺釜」 上州茂林寺に狸あり 守霍といへる僧と化して寺に居る事七代、守霍つねに茶をたしみて茶をわかせば、たぎる事六、七日にしてやまず 人のその釜を名づけて文福と云 蓋文武火のあやまり也 文火とは縵火也 武火とは活火也 茂林…

大座頭(おおざとう)

『今昔百鬼拾遺』より「大座頭」 大座頭はやれたる袴を穿、足に木履をつけ、手に杖をつきて、風雨の夜ごとに大道を徘徊す ある人これを問て曰、いづくんかゆく 答ていはく、いつも倡家に三絃を弄すと 大座頭は、座頭姿で夜に徘徊している妖怪である。石燕は…

小袖の手(こそでのて)

『今昔百鬼拾遺』より「小袖の手」 小袖の手は、死んだ女性が生前着ていた着物より、にゅるりと手が飛び出した妖怪(怪異)である。 石燕の解説文には「すべて女ははかなき衣服調度に心をとゞめて、なき跡の小袖より手の出しをまのあたり見し人ありと云」 と…

蛇帯(じゃたい)

『今昔百鬼拾遺』より「蛇帯」 博物志に云、人帯をしきて眠れば蛇を夢むと云々 されば妬る女の三重の帯は、七重にまはる毒蛇ともなりぬべし おもへどもへだつる人やかきならん身はくちなはのいふかひもなし 蛇帯は、帯が蛇のようになった妖怪。 石燕の解説文…

鬼一口(おにひとくち)

『今昔百鬼拾遺』より「鬼一口」 在原業平二条の后をぬすみいでゝ、あばら屋にやどれるに、鬼一口にくひけるよし、いせ物がたりに見えたり しら玉か何ぞと人のとひし時露とこたへてきえなましものを 鬼一口は、妖怪というよりは鬼が人間を食べる様を現した言…

鬼童(きどう)

『今昔百鬼拾遺』より「鬼童」 鬼童丸は雪の中に牛の皮をかぶりて、頼光を市原野にうかゞふと云 鬼童は、酒呑童子討伐で知られる源頼光らが出会った鬼の妖怪である。 まずは石燕の画中解説文を見てみる。 「鬼童丸は雪の中に牛の皮をかぶりて、頼光を市原野…

蓑火(みのび)

『今昔百鬼拾遺』より「蓑火」 田舎道などによなよな火のみゆるは多くは狐火なり この雨にきるたみのの嶋とよみし蓑より火の出しは陰中の陽気か 又は耕作に苦める百姓の脛の火なるべし 蓑火は、雨の降る日、蓑を着て田舎道などを歩いていると、蓑にホタルの…

風狸(ふうり)

『今昔百鬼拾遺』より「風狸」 風によりて巌をかけり木にのぼり、そのはやき事飛鳥の如し 風狸は中国に伝わる妖怪であり、日本では狸の一種であると言われている。 風狸がなぜそんなに格好いい名前なのかというと、まず第一に「風のように飛ぶ」。その飛距離…

岸涯小僧(がんぎこぞう)

『今昔百鬼拾遺』より「岸涯小僧」 岸涯小僧は川辺に居て魚をとりくらふ その歯の利き事やすりの如し 岸涯小僧は川辺に棲むと言われる猿のような妖怪。 河童の一種との説もあるが、石燕の創作である説が一番濃厚である。 石燕の解説文には、「岸涯小僧は川辺…

あやかし

『今昔百鬼拾遺』より「あやかし」 西国の海上に船のかゝり居る時、ながきもの船こえて二三日もやまざる事あり 油の出る事おびたゞし 船人力をきはめて此油をくみほせば害なし しからざれば船沈む 是あやかしのつきたる也 あやかしとは、海上に現れる妖怪、…

青行燈(あおあんどん)

『今昔百鬼拾遺』より「青行燈」 燈きえんとして又あきらかに、影憧々としてくらき時、青行燈といへるものあらはるゝ事ありと云。むかしより百物語をなすものは、青き紙にて行燈をはる也。昏夜に鬼を談ずる事なかれ。鬼を談ずれば怪いたるといへり。 青行燈…

紅葉狩(もみじがり)

『今昔百鬼拾遺』より「紅葉狩」 余五将軍惟茂、紅葉がりの時山中にて鬼女にあひし事、謡曲にも見へて皆人のしる所なれば、こゝに贅せず 紅葉狩は、紅葉という名前の女性に纏わる伝説。また、紅葉は鬼女であると言われたため、妖怪画にも描かれているのだと…

小雨坊(こさめぼう)

『今昔百鬼拾遺』より「小雨坊」 小雨坊は雨そぼふる夜、大みねかつらぎの山中に徘徊して斎料をこふとなん 小雨坊は、小雨の夜に山中を徘徊し、出会った者に食糧や小銭をねだる妖怪。厚かましい! なぜ小雨でしか出ないかは謎である。もしかしたら実は雨が嫌…

雨女(あめおんな)

『今昔百鬼拾遺』より「雨女」 もろこし巫山の神女は、朝には雲となり、夕には雨となるとかや 雨女もかゝる類のものなりや 雨女は、雨を呼ぶ女性の妖怪である。 石燕は解説文にて、中国の巫山の神女は「朝には雲となり、夕には雨となるとかや。雨女もかゝる…

火前坊(かぜんぼう)

『今昔百鬼拾遺』より「火前坊」 鳥部山の烟たちのぼりて、龍門原上に骨をうづまんとする三昧の地よりあやしき形出たれば、くはぜん坊とは名付たるならん 火前坊は火に包まれた僧の怨霊の妖怪。 鳥部山という山では、かつて僧達が焚死往生を願い、自らの体に…

朧車(おぼろぐるま)

『今昔百鬼拾遺』より「朧車」 むかし賀茂の大路をおぼろ夜に車のきしる音しけり 出てみれば異形のもの也 車争の遺恨にや 朧車は、牛車の荷台に恐ろしい女の顔が浮かんだ、牛車の妖怪。 石燕の解説文には、賀茂の大路(現在の京都、加茂)に夜現れたという。 …

倩兮女(けらけらおんな)

『今昔百鬼拾遺』より「倩兮女」 楚の国宋玉が東隣に美女あり 墻にのぼりて宋玉をうかがふ 嫣然として一たび笑へば、陽城の人を惑せしとぞ およそ美色の人情をとらかす事、古今にためし多し けらけら女も朱唇をひるがへして多くの人をまどはせし淫婦の霊なら…

蛇骨婆(じゃこつばば)

『今昔百鬼拾遺』より「蛇骨婆」 もろこし巫咸国は女丑の北にあり 右の手に青蛇をとり、左の手に赤蛇をとる人すめるとぞ、蛇骨婆は此の国の人か 或説に云、蛇塚の蛇五右衛門といへるものゝ妻なり よりと蛇五婆と呼びしを、訛りて蛇骨婆といふと 未詳 鳥山石…

古庫裏婆(こくりばばあ)

『今昔百鬼拾遺』より「古庫裏婆」 僧の妻を梵嫂といへるよし、輟耕録に見えたり ある山寺に七代以前の住持の愛せし梵嫂その寺の庫裏にすみゐて、檀越の米銭をかすめ、新死の屍の皮をはぎて餌食とせしとぞ 三途川の奪衣婆よりもおそろしおそろし 婆、が付く…

白粉婆(おしろいばば)

『今昔百鬼拾遺』より「白粉婆」 紅おしろいの神を脂粉仙娘と云 おしろいばゝは此神の侍女なるべし おそろしきもの、しはすの月夜女のけはひとむかしよりいへり 白粉婆は、腰の曲がった厚化粧の老婆の妖怪である。 石燕の解説文には、白粉婆は紅おしろいの神…

道成寺鐘(どうじょうじのかね)

『今昔百鬼拾遺』より「道成寺鐘」 眞那古の庄司が娘、道成寺にいたり、安珍がつり鐘の中にかくれ居たるをしり蛇となり、その鐘をまとふ この鐘とけて湯となるといふ 或曰道成寺のかねは今京都妙満寺にあり その銘左のごとし 紀州日高郡矢田庄天武天皇勅願所…

泥田坊(どろたぼう)

泥田坊 『今昔百鬼拾遺』より「泥田坊」 むかし北国に翁あり 子孫のためにいさゝかの田地をかひ置て、寒暑風雨をさけず時々の耕作おこたらざりしに、この翁死してよりその子酒にふけりて農業を事とせず はてにはこの田地を他人にうりあたへければ、夜な夜な…

燈台鬼(とうだいき)

『今昔百鬼拾遺』より「燈台鬼」 軽大臣遣唐使たりし時、唐人大臣に唖になる薬をのませ身を彩り頭に燈台をいたゞかしめてお燈台鬼を名づく その子弼宰相入唐して父をたづぬ 燈台鬼涙をながし指をかみ切り血を以て詩を書して曰、 我元日本華京客、汝是一家同…

彭候(ほうこう)

『今昔百鬼拾遺』より「彭候」 千歳の木には精あり 状黒狗のごとし 尾なし 面人に似たり 又山彦とは別なり 彭候は中国に伝わる樹の妖怪。というか精霊。 日本の木魅(こだま)と同じように、千歳の木が生み出す精霊であるという。このため、木魅と同一視され…