妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『今昔画図続百鬼』

日の出(ひので)

『今昔画図続百鬼』より「日の出」 夫妖は徳に勝ずといへり 百鬼の闇夜に横行するは、佞人の闇主に媚びて時めくが如し 太陽のぼりて万物を照らせば、君子の時を得、明君の代にあへるがごとし ――『今昔画図続百鬼』最後の項に描かれているのが、この「日の出…

天逆毎(あまのざこ)

『今昔画図続百鬼』より「天逆毎」 或書ニ云 素戔嗚尊ハ猛気胸ニ満チ、吐テ一ノ神ヲ為ス 人身獣首、鼻高ク耳長シ 大力ノ神ト雖モ、鼻ニ懸テ千里ヲ走ル 強堅ノ刀ト雖モ、噛ミ砕テ段々ト作ス 天逆毎姫ト名ヅク 天ノ逆気ヲ服シ、独身ニシテ児ヲ生ム 天ノ魔雄神…

百々爺(ももんじい)

『今昔画図続百鬼』より「百々爺」 百々爺未詳 愚按ずるに、山東にももんがと称するもの、一名野衾ともいふとぞ 京師の人小児を怖しめて啼を止むるに元興寺といふ もゝんぐはとがごしとふたつのものを合せて、もゝんぢいというや 原野夜ふけてゆきゝたえ、き…

土蜘蛛(つちぐも)

『今昔画図続百鬼』より「土蜘蛛」 源頼光土蜘蛛を退治し給ひし事、児女のしる所也 土蜘蛛は、酒呑童子討伐でも有名な源頼光一行によって討伐された蜘蛛の妖怪。 鬼の顔に長い手足を持ち、糸を吐いて人間を搦め捕り、喰らうと言う。 『土蜘蛛草紙』を筆頭に…

大禿(おおかぶろ)

『今昔画図続百鬼』より「大禿」 伝へ聞、彭祖は七百余歳にして猶慈童と称す 是大禿にあらずや 日本にても那智高野には頭禿に歯あばらなる大禿ありと云 しからば男禿ならんか 大禿は、こう見えて男の妖怪である。 禿とは簡単に言えばおかっぱ頭のことで、主…

骸骨(がいこつ)

『今昔画図続百鬼』より「骸骨」 慶運法師骸骨の絵賛に、かへし見よおのが心はなに物ぞ色を見声をきくにつけても 骸骨は、知っての通り骨である。妖怪と言うよりは骨である。 石燕の描いた骸骨には、慶運法師が骸骨の絵に添えた文章が載っており、それによれ…

百々目鬼(どどめき)

『今昔画図続百鬼』より「百々目鬼」 函関外史云、ある女生れて手長くして、つねに人の銭をぬすむ 忽腕に百鳥の目を生ず 是鳥目の精也 名づけて百々目鬼と云 外史は函関以外の事をしるせる奇書也 一説にどゞめきは東部の地名ともいふ 百々目鬼は、腕に無数の…

日和坊(ひよりぼう)

『今昔画図続百鬼』より「日和坊」 常州の深山にあるよし 雨天の節は影見えず、日和なれば形あらはるゝと云 今婦人女子てるてる法師なるものを紙にてつくりて晴をいのるは、この霊を奉れるにや 日和坊は、石燕の解説によれば、常州(中国)の深山に現れ、雨…

加牟波理入道(がんばりにゅうどう)

『今昔画図続百鬼』より「加牟波理入道」 大晦日の夜、厠にゆきて、がんばり入道郭公、と唱ふれば、妖怪を見ざるよし、世俗のしる所也 もろこしにては厠神の名を郭登といへり これ遊天飛騎大殺将軍とて、人に禍福をあたふと云 郭登郭公同日の談なるべし 加牟…

邪魅(じゃみ)

『今昔画図続百鬼』より「邪魅」 邪魅は魑魅の類なり 妖邪の悪気なるべし 邪魅は中国生まれの妖怪。 生態については謎が多く、妖怪の総称として名前が使われることもある。 石燕の解説には、 「邪魅は魑魅の類なり。妖邪の悪気なるべし」 とある。石燕の解説…

皿かぞえ(さらかぞえ)

『今昔画図続百鬼』より「皿かぞえ」 ある家の下女十の皿を一つ井におとしたる科によりて害せられ、その亡魂よなよな井のはたにあわはれ、皿を一より九までかぞへ十をいはずして泣き叫ぶといふ 此古井は播州にありとぞ お菊虫でも書いたように、この妖怪「皿…

野槌(のづち)

『今昔画図続百鬼』より「野槌」 野槌は草木の霊をいふ 又沙石集に見えたる野づちといへるものは、目も鼻もなき物也といへり 野槌は、頭に口がある以外は目も鼻も無い、山に棲む妖怪。 体長は一メートルほどで、時には鹿などの動物を丸呑みすることもあると…

川赤子(かわあかご)

『今昔画図続百鬼』より「川赤子」 山川のもくずのうちに、赤子のかたちしたるものあり これを川赤子といふなるよし 川太郎、川童の類ならんか 川赤子は水辺に現れ、通りがかった人に鳴き声でイタズラする妖怪。 「おぎゃー!」という泣き声が聞こえ、その声…

陰摩羅鬼(おんもらき)

『今昔画図続百鬼』より「陰摩羅鬼」 蔵経の中に、初て新なる屍の気変じて陰摩羅鬼となる、と云へり そのかたち鶴の如くして、色くろく目の光ともしびの如く羽をふるひて鳴声たかし、と清尊録にあり 死んだばかりの者の気が生み出すと云われる超恐い怪鳥の妖…

雨降小僧(あめふりこぞう)

『今昔画図続百鬼』より「雨降小僧」 雨のかみを雨師といふ 雨ふり小僧といへるものは、めしつかはるる侍童にや 雨の降る日、辺りをふと見回してみればいるかも知れない雨降小僧。 鼻ニンニクなおっさんみたいな顔をしているが、こう見えて江戸時代の黄表紙…

輪入道(わにゅうどう)

『今昔画図続百鬼』より「輪入道」 輪入道は、見ただけで魂を抜かれてしまうという非常に恐ろしい妖怪。 牛車の片輪中央に顔が浮かんでいる容姿で、これは妖怪「片輪車」に伝わる伝承のうち、京都で目撃されたと伝わるバージョンを別の妖怪として描いたもの…

墓の火(はかのひ)

『今昔画図続百鬼』より「墓の火」 去るものは日々にうとく、生ずるものは日々にしたし 古きつかはかすれて田となり、しるしの松は薪となりても、五輪のかたちありありと陰火のもゆる事あるはいかなる執着の心ならんかし 墓の火は、字の如く墓から火が現れる…

片輪車(かたわぐるま)

『今昔画図続百鬼』より「片輪車」 むかし近江国甲賀郡によなよな大路を車のきしる音しけり ある人戸のすき間よりさしのぞき見るうちに、ねやにありし小児いづかたへゆきしか見えず せんかたなくてかくなん――つみとがはわれにこそあれ小車のやるかたわかぬ子…

人魂(ひとだま)

『今昔画図続百鬼』より「人魂」 骨肉は土に帰し、魂気の如きはゆかざることなし みる人速に下がへのつまをむすびて招魂の法を行ふべし 人魂は、死んだ人より抜け出た魂と言い伝わるもの。妖怪というよりは怪異……というよりも人魂。 人魂は写真に収められた…

玉藻前(たまものまえ)

『今昔画図続百鬼』より「玉藻前」 瑯邪代酔に古今事物考を引て云、殷の妲己は狐の精なりと云々 その精本朝にわたりて玉藻前となり、帝王のおそばをけがせしとなん すべて淫声美色の人を惑わす事、狐狸よりもはなはだし みんな大好き九尾の狐の人間の姿、玉…

長壁(おさかべ)

『今昔画図続百鬼』より「長壁」 長壁は古城にすむ妖怪なり 姫路におさかべ赤手拭とは童もよくしる所なり 長壁は、姫路城天守に隠れ住むと云われる妖怪で、長壁姫とも呼ばれる。 かつて長壁は、年に一度だけ姫路城城主と面会し、その年の吉凶を占う易者のよ…

古山茶の霊(ふるつばきのれい)

『今昔画図続百鬼』より「古山茶の霊」 ふる山茶の精怪しき形と化して、人をたぶらかす事ありとぞ すべて古木は妖をなす事多し 老いた山茶(ツバキ)の木に霊が宿り、人をたぶらかしたりする妖怪。 石燕の解説文にも、「すべて古木は妖を成すこと多し」と書…

油赤子(あぶらあかご)

『今昔画図続百鬼』より「油赤子」 火の玉になりスゥっとやってきて、赤ん坊の姿になり油を嘗め盗んでいく妖怪。 なぜ赤子の姿かというのは……バレた時に許してもらいやすいからだろうか? 油を盗むタイプの妖怪は地味に多い。その理由は、当時(江戸時代、あ…

提灯火(ちょうちんび)

『今昔画図続百鬼』より「提灯火」 田舎などに提灯火とて畦道に火のもゆる事あり 名にしおふ夜の殿の下部のもてる提灯にや 提灯火は日本各地に伝わる怪火の一種。 正体は狐であるとも言われるが、徳島県等では狸の仕業とされていたりする。 絵をよく見ると解…

般若(はんにゃ)

『今昔画図続百鬼』より「般若」 般若は経の名にして苦海をわたる慈航とす しかるにねためる女の鬼となりしを般若面といふ事は、葵の上の謡に、六条のみやす所の怨霊行者の経を読誦するをきゝて、あらおそろしのはんにや声やといへるより転じて、かくは称せ…

青鷺火(あおさぎのひ)

『今昔画図続百鬼』より「青鷺火」 青鷺の年を経しは、夜飛ときはかならず其羽ひかるもの也。目の光に映じ嘴とがりてすさまじきと也。 夜になると光ると言われる鷺の妖怪。 青鷺とはあるものの、その正体はゴイサギらしいェ……。 五位の光という名で『絵本百…

以津真天(いつまで)

『今昔画図続百鬼』より「以津真天」 以津真天は、太平記に出てくる広有という弓の名手に退治された妖怪。 太平記によれば、疫病の流行っていた年、「いつまでも、いつまでも」と毎晩鳴く怪鳥がいたという。それを源頼政の鵺退治に倣い、弓の名手に退治して…

入内雀(にゅうないすずめ)

『今昔画図続百鬼』より「入内雀」 入内雀は、平安時代の歌人、藤原実方(ふじわらのさねかた)の怨みが雀になったと言われる妖怪である。 入内雀誕生の逸話はーー 藤原実方は、京都で同時期に台頭していた藤原行成に悪口を言われ、それに怒って揉めた挙句、東…

寺つつき(てらつつき)

『今昔画図続百鬼』より「寺つつき」 物部大連守屋は仏法をこのまず、厩戸皇子のためにほろぼさる その霊一つの鳥となりて、堂塔伽藍を毀たんとす これを名づけて、てらつゝきといふとかや 寺つつきは寺などをツツいて壊そうとする鳥の妖怪。絵だけみるとお…

水虎(すいこ)

『今昔画図続百鬼』より「水虎」 水虎はかたち小児のごとし 甲はさんぜんこうのごとく、膝頭虎の爪に似たり もろこし涑水の辺にすみて、つねに沙の上に甲を曝すといへり 水虎は中国に伝わる水辺に生息する妖怪。日本に伝わった際、性質が似ていることから河…